日本のソフトウェア界をリードする23社が結集して製品連携と海外進出を目ざす「Made In Japan Software(MIJS)」コンソーシアム。そのなかでも、アプリケーション連携のためのミドルウェア「DataSpider」を擁するアプレッソは中核を担うことになる。参加各社にMIJSへの取組みを聞くシリーズ第2回目の今回は同社の代表取締役社長、長谷川礼司氏および代表取締役副社長CTOの小野和俊氏を訪ねた。
多彩なデータ連携を実現
2000年4月創業のアプレッソは、これまでほとんどのビジネスをDataSpider中心に展開してきた。小野氏が開発したこのミドルウェアはデータベースやアプリケーション、グループウェアなどをアダプタと呼ばれる機能により連携し、全社的なサービス統合を実現するためのミドルウェア製品。Oracle、SQLserver、DB2、Lotus Domino、Lotus Notes、SAPなど、主要なソフトウェアのほとんどを接続し、柔軟なシステム統合を実現できる。
「アプレッソは、あくまでもパッケージ開発が主体。システムインテグレーション(SI)は、提供していません」と長谷川氏は語る。同氏はまた、「我々は、開発部隊が国内ですから、海外製品と違って日本独自の要望とか、修正依頼とかにもきめ細かな対応が可能で、その小回りのよさが強みだと思っています」と話す。
「いわゆるEAI、ETLといった分野で海外ベンダが苦戦しているなか、現在では対前年比で140%程度の売上げを達成しています」と長谷川氏は胸を張る。
着実な成長で近い将来に上場を目指す
そんな同社のビジネス展望は、「着実な右肩上がりの成長を堅持し、2〜3年後の上場を視野に入れた組織体制/内部管理体制の強化、そして販売戦略の強化をしたい」と長谷川氏は語る。
上場を視野に入れた場合には、内部統制システムの整備などが必要であり、財務担当と経理担当を別々にしたり、内部監査担当をアサインしたり、人員的にはかなりの増員になる。しかし、それが必須条件である以上対応せざるを得ない。
次に販売戦略の見直しだが、これまでのアプレッソは代理店販売戦略をとってきた。「DataSpiderの認知度を上げるために、大手ソフトウェアベンダーやSIer、ハードウェアベンダーまで、とにかく代理店の数を増やしてきました」という長谷川氏。
いまや代理店の数は50社にのぼるアプレッソ。同氏は、「今後は、どことどのような戦略で組んでいけば、より効果的なのかを考えていかなければいけません」と話す。
一番“重要な”ポジショニング
それでは、MIJSコンソーシアムにアプレッソは何を期待し、どんな役割を果たしていくのだろうか。これは長谷川氏の一言が的を射ている。
「MIJSの構想はアプレッソにとってとても“うれしい”話しでした」という言葉だ。「MIJSを発足させたとき、参加企業はほとんど業務アプリケーションの会社でした。それらの製品連携を実現していくならば核になるのはEAIです。そのため一番恩恵を受けているのではないかと思っています」と同氏は言う。
「最近では、“MIJSは長谷川さんのために作ったみたいだ”という冗談も言われています」と長谷川氏は笑う。
さらに言えば、MIJSとて冒頭に記したような海外製のデータベース、アプリケーションおよびミドルウエアを無視できるわけではない。しかしこれらの製品を日本で導入するとき、やはり国産のアプリケーションとの連携が必要になる。
そのときにアダプタが必要になってくる訳だが、「それを海外の本社が作ってくれるでしょうか。答えは否ですよね。そこにDataSpiderがはまるわけです」と長谷川氏は述べている。