Second Life 新世界的ものづくりのススメ--その3:ツールを使ってものづくりを実践

大槻透世二(デジタルハリウッド大学院)

2007-03-01 08:00

(前回より続く)

 「私、結婚したの」という彼女の言葉に対し、私はあからさまにがっかりした顔をしていたらしく、彼女はあわてて修正した。

 「ちょっと、本気にしないでね。あくまでもSecond Lifeっていう、仮想空間の中での話よ。紳士的にいろいろと親切に教えてくれる人がいて、熱烈にプロポーズされたから結婚しちゃった」

 よくわからないが、現実の話じゃなさそうだ……

 「Second Lifeでのバーチャルな自分っていうのは、 『アバター』って言うんだけど、アバター同士が結婚できるって面白いよね。それだけSecond Lifeは自由度が高い世界ってことのようね」

 そう言ったあと、彼女は面白い事実を話し始めた。それはまさに私が必要としている情報だった。

 「Second Lifeの中では、いろいろな『もの』を作ることができるらしいの。その人にいろいろ教えてもらったのよ。Second Lifeでものを作る秘訣を……」

Second Lifeでのものづくりとは

 Second Lifeでのものづくりは独特だ。まず、普通の3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)ソフトで作ったデータはインポートできない。つまり、「3D Studio Max」や「Maya」などで作った3次元データをSecond Lifeに持ち込むことはできないのだ。イメージやサウンド、モーションデータなどはアップロードしてSecond Life内に持ち込み可能だが、ものづくり技術はあくまでSecond Life内でビルドツールの操作方法を覚えるしかないのだ。この点では、スタート地点はみな同じだ。そして、その中でスキルを高め、ビルや家、アバターなど、あらゆるものを制作するのだが、限定条件がある。それが「プリム」数だ。

Bike 図1: 19プリムで構成されたバイク

 プリムとは「プリミティブ」の略で、原型という意味を持つ。つまり、のような四角いボックス、球体、円柱など、いくつかの原型立体を組み合わせて全体をリンクし、1つのモノ(オブジェクト)をつくるのだ。例えば、図1のようなバイクであれば、1つ1つのプリムが合わさって、19プリムで構成される。それに対し、Adidasで買ってきたバーチャルな靴(http://slurl.com/secondlife/adidas/103/108/22)などは、とても精細なプリムがたくさん組み合わさっており、219ものプリム数で1つのオブジェクトが構成される。

 なぜプリム数にこだわるのか。それは1つの島に配置できるプリム数が全体で1万5000プリムと、上限が決まっているからだ。つまり、例えば自分が1つの島を持っていた場合、島全体を設計し、そのエリアによってそれぞれの建物を制作するわけだが、重要度やデザインの見せ方によって、その限られた1万5000というプリム数を適切に配分しなければならない。建物Aには300プリム、建物Bには400プリムというように。島の場合には比較的調整が簡単だが、例えば、区画をレンタルする場合を考えてみるとどうだろうか。

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