あなたがLinuxへの移行を検討しているのであれば、私は大賛成である--ただし、しっかりと目を開けて移行の準備に取りかかるのであれば、という条件がつく。移行を検討しているあなたに勧めたいのは、移行という大きな一歩を踏み出す前に、たくさん存在している重要な問題を把握することである。
経済不安の広がりと、MicrosoftのWindows Vistaの普及の遅れを受けて、多くの人々がLinuxへの移行を検討するようになってきている。Linuxとオープンソースを支持している私は、こういった人気の高まりを潮目の変化として歓迎している--とは言うものの、この流れには危険が潜んでいる。普通のIT部門が、移行する前に時間をとってそのメリットやデメリットを検証しなかった場合に何が起こるのだろうか?私はLinuxがWindowsよりも格段に優れていると考えているものの、ある種の項目に対しては移行前の検討が「必須」となるのである。もしもこういった検討を行わなかった場合、振り出しに戻る羽目になりかねない。あなたがLinuxへの移行を検討しているのであれば、以下の10個の質問に対して答えてからにすべきである。
#1:現在使用しているプロプライエタリな、あるいはミッションクリティカルなアプリケーションは新しいプラットフォームでも実行できるのか?
移行を検討している人々に対して私が真っ先に告げることは、彼らの使用しているアプリケーションに相当するLinuxアプリケーションが存在しているはずだということである。Photoshopに対してはGIMP、Adobe Readerに対してはScribusという具合である。しかし、ある目的(あるいは企業)のために特別に開発されたアプリケーションの場合、それがクロスプラットフォーム対応されていないということもある。そういった場合に私は、該当アプリケーションをWine上で実行してみてはどうか、あるいはWindowsの仮想インスタンスを実行したうえで該当アプリケーションを実行してみてはどうかと言うことにしている。しかし、こういったことには時間と手間がかかり、場合によっては望み通りの安定性を得られないこともある(特にWineを使用する場合)。
Windows環境向けに(そしてWindows環境に特化したかたちで)開発されたミッションクリティカルなアプリケーションがあるのであれば、プロプライエタリなソフトウェアを使用するそういったアプリケーションについては移行を避けた方がよいだろう。もちろん、プロプライエタリなソフトウェアがWebベースである場合には、FirefoxがInternet Explorerに比肩するものであるため、移行してもおそらく大丈夫だろう。
#2:どのデスクトップを使用するのか?
この質問は万人が直面するものではない。WindowsやMac OS Xを使用する場合、デスクトップメタファは1つに決まっている。ところがLinuxの場合、デスクトップの選択の幅は、地元のスーパーマーケットの棚に並んでいる朝食用シリアルの種類と同じくらい豊富なのである。そして不適切なデスクトップを選択してしまうと、多くのユーザーに混乱をもたらしかねないのだ。しかし、デスクトップの選択はそれほど難しくはないのである。
あなたのユーザーがMac OS Xを使い慣れているのであれば、最善の選択はGNOMEになる。また、Windows XPを使い慣れているのであればKDE 3.5.x、Windows Vistaを使い慣れているのであればKDE 4.xが最善の選択となる(ただし、バージョン番号の小数点以下1桁目が0のリリースを導入することは避け、1以降のリリースを導入すべきである)。LinuxのデスクトップメタファはWindowsやMac OS Xのそれをはるかに超えている。想像力の限界に挑み、あなたの会社に特化したデスクトップを生み出すことが可能なのである。とは言うものの、そのためには、移行を検討する際にあなたのユーザーを念頭に置き、彼らが最も使いやすいデスクトップを選択しておく必要があるのだ。