#6:既存のハードウェアはサポートされているか?
このことは総じて、もはや大きな問題とはなっていない。しかし、低価格なハードウェアを配備することでコストを低減しようとする規模の大きな企業の場合にはまだ、大きな問題となる可能性がある。よくあるケースは、オンボードビデオカードを搭載したハードウェアであるが、たいていの場合は安価に問題を解決できる。しかし、100台以上のマシンを移行しなければならないという場合には、ビデオカードの差し替えコストもちょっとした問題になる可能性がある。また、考慮しておくべき問題は他にもある。ノートPCの配備が最大の難関となるのである。手持ちの無線カードは動作するだろうか?ビデオ性能はフルに発揮できるのだろうか?サウンドは?さらに、ハイバネーションやサスペンドに関する問題のせいで移行をあきらめなければならないことも大いにあり得る。幸いなことに、Linux OSではLiveCDという手が使えるため、ISOイメージをダウンロードしてLiveCDから起動してみることで、手持ちのハードウェアがサポートされているかどうかを実際に確認することができるのだ。そして、サポートされていなければ、答えは出たことになる。
#7:Active Directoryを使用しているか?
Active Directory(AD)が必要となるほどの大規模な組織なのであれば、次のことは理解しておくべきである:ADからOpenLDAPへの移行プロセスは大変な作業であり、ADの一部の機能はOpenLDAPと互換性がないのである。このことは、ADがOpenLDAPよりも優れているということを意味しているのだろうか?必ずしもそうとは言えない。エンタープライズレベルのADを配備しており、それを同規模のOpenLDAPに移行しようと考えているというのであれば、pwdump2とActiveState Perlを用いることができるだろう。ただし、コマンドを1つ実行するだけ、あるいはボタンを1つクリックするだけで簡単に移行できると期待してはいけない。こういった移行は、IT会議で集中的に、場合によっては何度も検討してから決断すべきものなのである。
#8:ヘルプデスク業務をアウトソーシングしているか?
多くの大企業がヘルプデスク業務をアウトソーシングしている--これは邪悪なことであるが、まぎれもなく企業文化が反映されていることなのである。あなたの企業がこういった委託を行っているのであれば、Linuxへと移行する前に調査しておくべきことがある。移行対象としてUbuntu(Canonical)やRed Hat、SUSE(Novell)といったディストリビューションを検討しているのであれば、あなたは幸いなことにサポートを購入することができるだろう。一方、これら以外のディストリビューション、例えばDebianを選択した場合、同レベルのサポートは期待できない。(メーリングリストなどで)サポートを得る術はあるものの、従来と同じレベルというわけにはいかないのだ。