一部のIT専門家らはWindows 7のことを、「Vistaを正しい方向に改善したもの」と評している。しかしこういった言葉は、Vistaを今後しばらく使い続けることが確定しているユーザーにとって、何の慰めにもならないのだ。あなたがそういったユーザーの1人なのであれば、以下に挙げる特徴に目を向けることで、Vistaを再評価するきっかけが生まれるかもしれない。
Vistaを批判している多くの人々がWindows 7へのアップグレードを待ちわびている一方、Windows 7がリリースされても乗り換えることはできないという人々がいることも事実である。企業にとって、アップグレードとは莫大なコストがかかるイベントであるため、(少なくとも当面は)そう簡単にアップグレードを行うわけにはいかないのだ。あなたが今後しばらくの間、Vistaを使い続けることになるというのであれば(そしてあまりVistaを気に入っていないという場合には特に)、以下に挙げるようなVistaの優れた点を心に留めておくとよいだろう。(備考:以下の内容は、Windows Vista Business(SP1)での使用を想定したものである)
#1:プロセスの割り当て手法が改善されている
Windowsでは、マルチタスク処理にスレッドを使用している(はずだ)。スレッドとは単一の機能を担うものであり、複数のスレッドを1つのアプリケーションから同時に生成することもできる。スレッドの活用により、電子メールを読みながらデータをインポートしたり、スキャンを実行することができるようになっているわけだ。Windowsは必要に応じて各スレッドにリソースを割り当てるようになっている。しかし残念なことに、スレッドの数が多すぎると、たいていの場合は処理速度が低下してしまうのである。ログオンという処理が、その良い例である:XPユーザーであれば、コンピュータのログオン操作を行った後、デスクトップの起動に長い時間がかかっている間にコーヒーを煎れに行っているのではないだろうか?
VistaはWindows XPと比べると、バックグラウンドのタスクをバックグラウンドに留めておき、あなたの行いたいことが優先的に処理されるよう改善されているのである。このため、デスクトップのロード中であっても、Outlookを起動し、電子メールを読むことができるのだ。つまり、Vistaユーザーであれば、ログオン操作を行う前にコーヒーを煎れておくことになるわけだ(もちろん、システムには十分なリソースが搭載されていなければならない)。
ただ、処理のスレッド化を行っているとはいえ、Vistaの起動には30秒以上かかっている。これに対して、Windows 7は15秒で起動する見込みとなっている。
#2:パワフルなシステムに適している
正しいかどうかは別にして、一部の人々はVistaがシステムリソースを多く必要とするという話を聞き、その採用を見送っている。しかし、そういった話はフェアではないのである。Windows XPがリリースされた頃、プロセッサの処理速度はMHz単位で、メモリの容量はMバイト単位で表されていたのだ。今は2009年なのだ!現在世の中に出回っているプロセッサの処理速度をMHz単位で表現すると4桁の値となり、携帯電話のメモリ容量ですら、初期のWindows XP世代のコンピュータに匹敵するほどとなっているのである。
軽量のOSを使用すること自体が目的なのであれば、DOSに戻ればよいのである。しかし、2GHz台のデュアルコアプロセッサと4GバイトのRAMを搭載したコンピュータを使用するというのであれば、その性能を最大限に活かせるOSを使うべきなのだ。そういったコンピュータ上でWindows XPを稼働させるのは、レーシングカーで近所のスーパーマーケットに行くようなものである。Vistaは、今日のパワフルなシステムに最適のOSなのだ。