低コスト・高価値のWeb 2.0戦略10選

文:Polly Schneider Traylor 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-08-07 08:00

 過去12ヶ月間に経済に起こった出来事は、多くの企業が持っていた大金がかかるテクノロジーの計画を打ち砕いたが、ITのイノベーションについては、すべての望みが潰えたわけではない。この不景気が始まる前でさえ、新興企業や定評のあるテクノロジー企業が何百何千というオープンソースやウェブベースのツール、アプリケーション、技術を世に出しており、IT産業の性質を変えようとしている。例えば数年前には、Ruby on Railsはまったく新しいオープンソースのプログラミングツールだった。しかし今では、TwitterやHuluなどの大手ソーシャルネットワーキングサービスの背後で使われるものになっている。

 確かに、この分野には大げさな売り文句が多すぎる。ボストンのソフトウェア開発者であり、コンサルタントのGeoff Feldman氏は、「これをWeb 2.0/3.0と呼ぶのは紛らわしいことだ。決定的なリストがないため、計画を立てようとする目的には結局役に立たない」と述べている。しかし、バージニア州アレクサンドリアの企業ソフトウェアコンサルタントであるDion Hinchcliffe氏は、呼び名を別にすれば、この動きは重要なものだと考えている。「明らかに、これまでとはまったく違うことが起こっている。ウェブは、支配的なプラットフォームになりつつある」(Hinchcliffe氏)

 以下に挙げるのは、最小のコストで最大の価値を提供してくれるウェブ指向のツール、技術、アイデアについて、われわれが作ったトップ10のリストだ。

1: 基本に戻る: 自社のウェブサイトを整える

 ソーシャルメディアやコミュニティ機能、洗練されたオンラインサービスなどの実験に急ぐあまりに、一部の企業は焦点を見失っているようだ。顧客に向けて、豊かで、平明にデザインされ、使いやすいウェブサイトを作れば、顧客はやってくるものだ。同時に、「簡単な」ウェブ開発ツールを使う場合でも、技術的なスキルはやはり重要だ。「優良で、品質が高く、中身の詰まったコンテンツの多いウェブサイトは、支出に見合うだけの価値がある」とFeldman氏は述べている。

2: ウェブ開発フレームワーク(ブラウザ、フロントエンド)

 連邦政府やFortune 1000企業などを顧客に持ち、アドバイスをしているHinchcliffe氏は、Adobe Flash、Adobe Air、Microsoft Silverlight、そして一定程度までのJavaなどの、いくつかの人気のあるツールを挙げている。同氏は、これらのツールはコンピュータができることと、ブラウザができることのギャップをある程度埋めてくれると述べている。「Flashは今や、完全なOSのようになっている」(Hinchcliffe氏)。ニューヨーク市を本拠にするKeith Pelletier氏のような開発者にとっては、これらのツールはコードを書くスピードを高めてくれるものだ。「5年前には構築するのに3ヶ月かかったWebベースのしっかりした事業部門向けアプリケーションが、今ではSilverlight/.NETを使って3週間で作ることができる」(Pelletier氏)

3: ウェブ開発フレームワーク(ブラウザ、バックエンド)

 「以前のものを中断して、Web 2.0のベストプラクティスを使って、拡張性があり、安全なアプリケーションとサービスを開発するという事例が見られる」とHinchcliffe氏は述べている。同氏は、PythonとRuby on Rails(どちらも無料)の2つを、よく使われるプログラミングフレームワークとして挙げる。「われわれは、これらを生産性指向フレームワークと呼んでいる。なぜらなら、これらは過去のテクノロジーと比べてコードの開発の生産性が10倍から20倍高いからだ」と同氏は言う。「これは非常に大きい。なぜなら、人材こそがもっとも大きなコストだからだ」(Hinchcliffe氏)

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