FacebookやTwitterなどのサービスを含むソーシャルソフトウェアプラットフォームは、コミュニケーションにおいてひとつの重要な手段となった。特に消費者層でその傾向が見られ、先進領域においてはEメールをもしのぐ存在となっている。
しかし、同じことが職場に当てはまるとはまだ言い切れない。ビジネス分野でのソーシャルアプリケーションの採用数は、表向きには目立ったものだが(大企業の約半数が採用している)、実際の採用と利用の状況は、非ビジネス分野と比べると大きく後れをとっている。これは、組織ではエンタープライズソーシャルコンピューティングに関するさまざまな問題を評価するのに時間をかけるためだ。それらの問題には、妥当性やセキュリティ、統制機能、管理手法、展開戦略などが含まれる。
だが、今日ではソーシャルツールに多くの人が関心を持ち、知名度も高くなっているので、ソーシャルアプリケーションを社内のイントラネットで見かけるようになる可能性は高まっている。問題は、どんな形でそれが実現されるかだ。ソーシャルツールの選択肢は今や多すぎるほどで、さらに急速に増え続けている。新規参入者が毎週現れ、既存のサービスは頻繁にアップデートされている。ビジネス用途レベルのソーシャルソフトウェアでは何が現在入手可能でそれが今後どう発展していくのかを詳しく検討する必要性が高まっている。以下、本稿ではこうした問題に関してハイレベルな分析を試みている。
2008年に掲載した市場分布図からも分かるように、ビジネス用途の設定、構成を前提としたソーシャルアプリケーションは、社内向け、社外向けとも、まさしく乱立している。これらのサービスの機能は実に多様だ。そのため、筆者は本稿では、ビジネスソーシャルソフトウェアにおいて最もカバーする範囲が広く、最重要な分野のひとつであるEnterprise 2.0を詳しく取り上げる。今回も、総括的な2009年版の市場分布図を用意した。この図は現在提供されている製品(あるいはGoogle Waveのように、期待が高く、間もなくリリースされる可能性が大きいもの)を基に作成した。
Enterprise 2.0ソフトウェア:無数の選択肢
現在、さまざまなソフトウェアベンダーがEnterprise 2.0ツールを提供しているか、あるいは既存の製品を将来Enterprise 2.0に対応させたり拡張したりすると明言している。そのようなベンダーには、ありとあらゆるオープンソースプロジェクトや、商用ソフトウェアベンダー、新興企業、そしてGoogleなどの一定の評価を受けているWeb企業も含まれる。
実際、調査を進めるなかで、ビジネス志向のコラボレーションツールやコミュニケーションツールを開発しているすべての企業が現在Enterprise 2.0機能を何らかの形で提供しているように思えたこともあった。総じて言えば、これは顧客側にとってはよい兆候だ(ほとんど常に供給は需要よりも強い)。新興市場ではやがて淘汰が進んでいくものだが、ソーシャルソフトウェアはもはや初期の段階を過ぎている。つまり、その市場に参入している製品の多くが中・長期の段階にあると見ることができる。また、これだけの数から選べれば、機能や料金、技術的要件、標準サポート状況など、自分の具体的な要件に合うものが手に入る可能性も高まる。
上の図をクリックすると、今回の調査にあたって評価対象としたEnterprise 2.0対応アプリケーションの全リストを見ることができる。