筆者は最近のニュースで、現在の仕事に満足していない、あるいは大きな不満を感じているという人が85%にも上るという調査結果を目にした。従業員のこういった不満感が生産性に及ぼす影響は、専門家でなくとも想像が付くだろう。このことはITリーダーにとって、特に現場で指揮を執っている場合には大きな問題となるはずだ。
仕事に不満を抱いているIT技術者はいる。しかし、あなたが彼らのやる気を引き出す方法を知っていれば、そういった状況を変えることも可能である。本記事では、そのためのティップスを紹介する。
自明の動機付け--外発的動機付け
高い給与を得ている従業員ほど、仕事に満足している割合が高いと考えることは理に適っている。お金というものは、どのようなかたちをとろうと、素晴らしい外的報酬となるのだ。筆者は、大手のハイテク企業が受託していたデータウェアハウス構築プロジェクトの最終工程に参加したことがある。その企業は自社のERPシステムから客先の上流システムまでのアップグレードを決定したところであった。このため、未完のプロジェクトを抱えていたその企業は、アップグレードが完了するまでの間、データウェアハウスの整合性の維持管理を筆者に依頼してきたというわけである。この仕事は筆者にとって最もやりたくないものであった。しかし、料金に関する話になった時点で状況は一変した。30万ドルという金額は、このプロジェクトを心から好きになるだけの十分な報酬であり、気持ちよく良い仕事を行えたというわけだ。
金銭的報酬を動機付けとして使う場合には、以下の3つの原則を忘れないようにしてほしい。
- 金銭的報酬は、一時的な動機付けにしかならない。つまり、その効果は長続きしないということである。その行使は短期間(3〜6カ月)に留めた方がよいだろう。
- 報酬の金額は重要である。スターバックスのギフトカードを10ドル分でも貰えるのは嬉しいことだが、それで人のやる気を引き出すことはできないだろう。
- 目標そのものと、目標を達成した場合の見返りについて、事前に明確にしておくべきである。チームに協力し合って作業を行ってもらいたいという場合、報酬は生産性の高い個人に与えられるのではなく、チームに対して与えられるということを明確にしておくようにしてほしい。
内発的動機付け
動機付けが外的報酬に基づいたものでない、すなわち内発的動機付けである場合、その効果は永続的であるという利点がある。あなたがチームを1年以上率いていくというのであれば、チームメンバーの動機付けを終始一貫して持続させていくために、内発的動機付けを高めていかなければならない。IT技術者の内発的動機付けを高めるにはまず、彼らのプロ意識の高さを理解する必要がある。彼らのほとんどは技術に関連する何らかの学位を取得しており、大学院以上の学位を取得している者もいるはずだ。このことは、彼らがあなたと一緒に仕事をするようになる前から、自らが高い関心を持つ専門分野にかなりの時間を割き、エネルギーを注いできていることを意味している。彼らは仕事に自らの存在意義を見出しており、それは会社という存在を超越しているのである。