電子投票機は選挙に影響を与えるか

文:Adam O'Donnell(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:石橋啓一郎

2008-11-04 22:04

 24ヶ月間ほど竜宮城にでも行っていたのでない限り、米国時間11月4日に何百万人もの米国人が自分たちの下院議員、上院議員の3分の1、そして次の大統領を選ぶために投票を行うことを知っているはずだ。一般的に言って、米国人は2000年の選挙の際に生じた裁判以来、選挙プロセスに警戒心を抱いている。選挙のプロセスには法的な問題が生じる可能性のある変数が多く、これには有権者の不適切な登録、海外から遅れて送られてくる軍人の票、有権者に対する脅迫の訴えなどが含まれるが、それだけには止まらない。私は政治学ではなく情報セキュリティを専門としているので、ここでは電子投票に関する問題に焦点を絞りたい。

 期日前投票を行った有権者は、すでにタッチスクリーン型投票システムで生じた問題を報告しており、テネシー州ではMcCain氏への投票がObama氏への投票として登録された事例があり、ウェストバージニア州では民主党候補への投票が共和党候補への投票になった事例が生じている。これらの状況はどちらも、タッチスクリーンの位置補正の問題のようで、これは未知の問題というわけではないが、投票を正確に記録することのできるシステムとしての評判に影響を与えるものだ。この懸念は深刻で、メリーランド州とバージニア州は運用に対する信頼を確保するため、次期までに州が持つ電子投票システムを交換する計画を立てている。

 私は、いくつかの理由から、電子投票が選挙の品質に悪影響を与えるとは思っていない。例えば、平均的な有権者はメディアから機械が故障することもあり得ると教え込まれており、問題が生じた際に投票管理者に報告することに対するためらいは、以前よりもずっと少なくなるだろう。また、タッチスクリーンの位置補正のようなエラーが本来本当にランダムなものであれば、両党に誤って投票された票数は、差し引きすれば同じくらいになるはずだ。

 もし誤りのない電子投票が実現不可能だとしても、運が悪くなければ、選挙結果を左右する州での票差は十分大きく、次期大統領決定のために訴訟が行われるようなことは生じないだろう。投票システムを信頼できるかどうかは、それが電子投票であるかどうかに関わらず、選挙結果は法律家によってではなく有権者によって決定されていると実感できるかどうかにかかっている。

 個人的なことだが、私はまだタッチスクリーンの投票システムを見たことがない。私は2つの自治体で3つの方法を使って投票したことがある。私の出身地のフィラデルフィア州は以前巨大な機械式の投票装置を使っており、これは似たユーザーインターフェースを持つ電子的なシステムで置き換えられたが、問題が報告されている。私の住むサンフランシスコ州では、紙とペンによる投票と電子スキャナーが用いられており、この方法はセキュリティ専門家にもっとも安全な投票記録手段の1つであると見なされている。私は、今回の選挙で選挙権を行使する読者がどの投票方法を使うのか、興味がある。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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