オバマ大統領やジョブズCEOに学ぶ魅惑のプレゼン力--エリック松永の英語道場(30)

エリック松永

2009-08-10 08:00

 What's up man?

 Barack Obama、Steve Jobs、Bill Gatesなど、リーダー的存在となる人たちは皆さん素晴らしいプレゼンテーションをしますよね。とにかく引き込まれてしまいます。彼らのプレゼンテーションを見ていると、数分で睡魔が襲いかかるような典型的な日本のプレゼンテーションとは完全に違うものだと思う方も多いのではないでしょうか。あの雄弁さは才能で、自分には到底無理だと思い込んでいる方、それは間違いです。

プレゼンの極意は「明確なテーマ」

Theme イラスト: まつなが みか

 前述のプレゼンテーターに共通しているのは、「明確なテーマ」です。プレゼンテーションのハウツー本では「10カ条」などいくつものノウハウが紹介されていますが、私はこの1カ条が全てを決めると思っています。視覚に強く訴えかけるスライドも、インパクトを与える表現も、そして感動を与える演出も、全て明確なテーマを伝えるためのテクニックにすぎません。考えないで真似ただけの小手先のテクニックは、結局相手をしらけさせる結果になります。明確なテーマをどう伝えるかは、あなた自身のやり方でいいのです。

 例えばテクニックのひとつに、プレゼンテーションの冒頭で、プレゼンターがリスナーとの壁を壊す手法があります。リスナーに当事者意識を持たせ、プレゼンテーションの中に引き込んでしまうのです。例えば、iPhoneの鮮烈な発表の時、Steve Jobsはこう切り出しました。

We're going to make some history together today.

さあ、今日これから一緒に歴史を作り出そうじゃないか。

 Obama大統領の就任演説では、謙虚な姿勢をアピールしながらも、先人までさりげなく引き合いに出し、選んでくれた人々との一体感を演出、聴衆を引き込んでいます。

I stand here today humbled by the task before us, grateful for the trust you have bestowed, mindful of the sacrifices borne by our ancestors.

私は、目の前にある任務に謙虚な態度を示し、皆さんからの信頼に感謝し、そして我々の先人が耐え忍んできた犠牲を心に留めながら、今ここに立っています。

 一見派手なつかみですが、2人共に「明確なテーマ」があるからこそ、こうしたフレーズが生きてくるのです。これを単純に真似てはいけません。

 例えばObama大統領がJobs CEOのように「We're going to make some history together today」と声高に言ったらどうでしょう? また、あなたが社内の会議でいきなり「I stand here today humbled by the task before us」と切り出したらどうでしょう? ドン引き間違いなしですね。明確なテーマを目の前にいるリスナーに伝えるということは、常に念頭に置くべきなのです。テーマを取り巻く状況や、リスナーが誰なのかを考え、場を読みつつどうやってテーマに賛同してもらえるか、毎回時間をかけて考えなければいけないのです。見た目だけかっこいいスライドをいくら作っても、Jobsのフレーズをいくらまねても、心に響くプレゼンテーションはできないということです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]