What's up man?
Barack Obama、Steve Jobs、Bill Gatesなど、リーダー的存在となる人たちは皆さん素晴らしいプレゼンテーションをしますよね。とにかく引き込まれてしまいます。彼らのプレゼンテーションを見ていると、数分で睡魔が襲いかかるような典型的な日本のプレゼンテーションとは完全に違うものだと思う方も多いのではないでしょうか。あの雄弁さは才能で、自分には到底無理だと思い込んでいる方、それは間違いです。
プレゼンの極意は「明確なテーマ」
前述のプレゼンテーターに共通しているのは、「明確なテーマ」です。プレゼンテーションのハウツー本では「10カ条」などいくつものノウハウが紹介されていますが、私はこの1カ条が全てを決めると思っています。視覚に強く訴えかけるスライドも、インパクトを与える表現も、そして感動を与える演出も、全て明確なテーマを伝えるためのテクニックにすぎません。考えないで真似ただけの小手先のテクニックは、結局相手をしらけさせる結果になります。明確なテーマをどう伝えるかは、あなた自身のやり方でいいのです。
例えばテクニックのひとつに、プレゼンテーションの冒頭で、プレゼンターがリスナーとの壁を壊す手法があります。リスナーに当事者意識を持たせ、プレゼンテーションの中に引き込んでしまうのです。例えば、iPhoneの鮮烈な発表の時、Steve Jobsはこう切り出しました。
We're going to make some history together today.
さあ、今日これから一緒に歴史を作り出そうじゃないか。
Obama大統領の就任演説では、謙虚な姿勢をアピールしながらも、先人までさりげなく引き合いに出し、選んでくれた人々との一体感を演出、聴衆を引き込んでいます。
I stand here today humbled by the task before us, grateful for the trust you have bestowed, mindful of the sacrifices borne by our ancestors.
私は、目の前にある任務に謙虚な態度を示し、皆さんからの信頼に感謝し、そして我々の先人が耐え忍んできた犠牲を心に留めながら、今ここに立っています。
一見派手なつかみですが、2人共に「明確なテーマ」があるからこそ、こうしたフレーズが生きてくるのです。これを単純に真似てはいけません。
例えばObama大統領がJobs CEOのように「We're going to make some history together today」と声高に言ったらどうでしょう? また、あなたが社内の会議でいきなり「I stand here today humbled by the task before us」と切り出したらどうでしょう? ドン引き間違いなしですね。明確なテーマを目の前にいるリスナーに伝えるということは、常に念頭に置くべきなのです。テーマを取り巻く状況や、リスナーが誰なのかを考え、場を読みつつどうやってテーマに賛同してもらえるか、毎回時間をかけて考えなければいけないのです。見た目だけかっこいいスライドをいくら作っても、Jobsのフレーズをいくらまねても、心に響くプレゼンテーションはできないということです。