ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)内で製品やサービスのコミュニティを作り、マーケティング活動に結びつける「ソーシャルネットワークマーケティング」が注目されている。日本ではMixiやGREE、米国ではFacebook、MySpace、LinkedInといったようなSNSに大量のユーザーが集まり、格好のマーケティングの場となっているためだ。
Forrester Researchでソーシャルコンピューティングを担当するシニアアナリストJeremiah Owyang氏は、ソーシャルネットワークマーケティングの利点について、「口コミの力を最大限に利用できる」と話す。「消費者の多くは、他のどんな情報源よりも友人・知人からの情報を信頼する傾向にある。つまり、口コミ情報は商品のオススメ度をより強固なものにするのだ」とOwyang氏。しかし、実は「多くの企業はソーシャルネットワークマーケティングをうまく活用しきれていない」という。
Owyang氏はこのほど、「Best And Worst Of Social Network Marketing, 2008」というレポートを公開し、各企業のソーシャルネットワークマーケティング活動を評価した。さまざまな業界から16のブランドを選び出し、そのマーケティング活動を調査したOwyang氏は、SNS内で何を見たのだろうか。
合格点に達したのはBMWのみ
Owyang氏が評価対象としたSNS内のコミュニティは、自動車業界では「BMW 1-Series」、「MAZDA3」、「OurPlanet」(General Motors)、「Ford Drives U」、メディア業界では「Entourage」(HBO)、「FOX News」、「Enchanted」(Disney)、「Alicia Keys」(Sony BMG)、テクノロジ業界では「Blast」(Samsung)、「RED」(Dell/Microsoft)、「Windows Server Live」(Microsoft)、「Intel Studio」、一般コンシューマー製品では「Nike」、「DiGiorno Pizza」(Kraft)、「Aquafina」(Pepsi)、「Skittles & Starburst」(Mars)という16のブランド。評価基準となったのは、以下の8ポイントだ。
- コミュニティメンバーの目的を達成させるような価値のあるコンテンツを提供しているか
- マーケティング活動のキーとなるコンテンツや機能がわかりやすく配置されているか
- メンバーが自主的にマーケティング活動してくれるような仕組みになっているか
- フォーラムなどを用意し、メンバー同士がコミュニケーションできるようになっているか
- ゲームやキャンペーンなどで、メンバーがマーケティング活動に接する時間を増やす仕組みになっているか
- 企業がコミュニティメンバーと積極的にコミュニケーションしているか
- コミュニティ外でもメンバーが口コミ情報源となってくれるようなツールや仕組みを用意しているか
- メンバーに何をしてもらいたいのかが明確になっているか
それぞれのポイントについて、最低点を−2、最高点+2とし、合計−16から+16という点数で評価した結果、合格点の+8以上となったのはBMW 1-Seriesのみだった。