ソーシャルテクノロジで変革したデル、失敗したウォルマート

藤本京子(編集部)

2008-11-21 18:04

 「People」(人)、「Objective」(目的)、「Strategy」(戦略)、「Technology」(技術)の頭文字を取った「POST」--これは、ソーシャルテクノロジを活用したマーケティング戦略の方法論だ。まず、ターゲットとなるユーザーがどの程度ソーシャルメディアを積極的に活用しているかを理解した上で、ソーシャルマーケティングを行う目的を明確にする。そして、ターゲットにアプローチするための戦略を立て、どのテクノロジを使うかを決める。この4つを正しい順番で実施することにより、ソーシャルマーケティングの成功率が向上するというものだ。

 この手法を提唱したForrester Researchのシニアアナリスト Jeremiah Owyang氏が、ソーシャルテクノロジをうまく活用した事例と失敗例、そしてソーシャルテクノロジのもたらす未来の企業の姿について語った。

ソーシャルテクノロジを通じた企業変革

Owyang氏 Forrester ResearchのJeremiah Owyang氏

 Owyang氏はまず、ソーシャルテクノロジの活用における成功例のひとつとしてDellを挙げた。Dellのカスタマーサポートに対する顧客満足度が下落傾向にあった2005年は、同社のサポートに対する苦情がネット上でも話題になった時期だ。当初Dellは、ネットを通じたプロモーション活動などで顧客の心を再びつかもうとしたが、うまくいかなかった。そこでDellでは、コミュニティやブロガーの言葉に耳を傾け、否定的な意見に対しても誠実に返答するなど、ソーシャルメディア内で地道な努力を続けた。Dellは変わったのだ。

 今ではDellは、ブログなどのソーシャルメディアに対応する専任の担当者を25名以上抱えているほか、「CEOのMichael Dell氏もコミュニティをサポートしている。Dell氏はブロガーとの食事会を開催したほどだ」とOwyang氏は言う。

 Forresterでは、ソーシャルテクノロジを通じて消費者が急速かつ広範囲に影響力を高める大きなうねり、つまり「groundswell」を理解し、このテクノロジをうまく活用できたサイトにアワードを授与している。「意見を聞く」「活性化する」「社会的影響の大きさ」など、部門ごとにアワードが授与されるが、Dellは2007年度の「企業変革」部門においてアワードを受賞した。

 2008年度の受賞者も10月末に発表されたばかりだ。Dellに続いて2008年度の「企業変革」部門アワードを受賞したのは、「TurboTax」や「Quickbooks」などの会計ソフトウェアを提供するIntuit。同社は、フォーラムやコミュニティを通じた製品サポートでコスト削減を実現し、こうしたフォーラムにおけるユーザーのフィードバックを製品のアイデアにも結びつけた。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. 運用管理

    IDCレポートが明かす、AI時代において「プライベートAIインフラ」が企業競争力に果たす役割と効果

  3. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]