Appleが例年夏に披露する新iMacを春に発表したのは、今回のiPhone 3G発表に向けた布石だったのではないか――そんな考察を寄せてくれたのは、Appleのビジネスに詳しいジャーナリストの大河原克行氏だ。
「年内」提供から「7月」提供へ
WWDC 2008のSteve Jobs氏の基調講演は、開幕前から予想されたようにiPhone 3Gの内容に終始した。
これによって、7月11日から全世界で販売を開始することが明らかになり、日本でもソフトバンクモバイルから同日に発売されることが正式に発表された。
ソフトバンクモバイルがiPhone獲得を発表した段階では「年内」という幅のある期間でのコメントとなっていたが、あと1カ月もすれば日本でもiPhoneを手に入れることができる。
iMacが示唆したiPhone 3G
実は、夏のiPhone発売に向けて、Appleは例年と異なる施策を展開していた。
それは、例年8月に発表するiMacの新製品を、今年は4月末に前倒しで発表したことである。
もともと学生などに高い人気を誇るiMacは、米国において9月に新学期がスタートすることにあわせ、その需要期を狙った新製品投入というパターンが常であった。
それが今年に限っては4月末の発表となっていたのだ。iMacの新製品が発表された段階では、そのタイミングにやや違和感を感じたものの、日本のボーナス商戦にあわせてという意味では最適なタイミングであったため、むしろいい時期での投入とさえ思ったものだ。
だが、WWDCでJobs氏がほとんどの時間を3G iPhoneの説明に時間を割いたように、Appleにとって今年の最重点製品がiPhone 3G、つまり夏は完全にiPhoneに集中できる体制を整えたいという思惑があったともいえる。
新iMacは従来製品に比べて高性能化を図るとともに、意欲的な価格設定をしている点で大きな注目を集めてた。しかし、iPhoneブームのなかでその訴求力が薄れることを避けたともいえよう。
今から思えば、異例ともいえるiMacの前倒しでの市場投入は、実はiPhone 3Gの夏発売を密かに示唆していたともいえそうだ。