「テレビ会議を社内で使用するためには、その操作を行う専門のカメラマンが必要なのか?」――。
読者の皆さんは多分冗談だろうと思われるだろうが、これは実際に米国でテレビ会議の導入を検討した企業が発した質問だ。これは米国の遠隔会議の専門家から教えてもらったことだが、世界最大のテレビ会議市場の米国であっても、このような質問が実際にあったという。おそらくこの企業には、1980年代のテレビ会議のイメージが残っていたのだろう。
また、テレビ会議を導入しても、“埃がかぶる”だけと揶揄されたこともあった。テレビ会議システムは、「大企業や特殊な企業向けのシステムで、導入コスト以外にも操作などが難しい」「効果を出せる利用の仕方ができるか自信がない」といったことから、“一般”企業では敷居が高く、利用価値がないというネガティブなイメージが、長年形成されていた感がある。
しかし、そういったネガティブなイメージを持たれつつも、一方では、この会議システムがないと業務に支障が出るとまで言い切るパワーユーザーの企業もいることは確かだ。ユーザー企業の傾向を見ていると、ある意味二極化しているとも言うことができる。この違いは一体何だろうか。「あの会社はウチとは違う」というものだろうか。
習うより慣れろ
第1回目でも説明したが、会議システムがないと支障が出ると言い切る企業ユーザーは、テレビ会議システムやウェブ会議システムは、企業の「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」を支援・補完するコミュニケーションツールとしての役割があると認識している。ホウレンソウは企業の根幹の部分だ。これが機能しないと情報が組織の中で伝わらないし、共有できない。そのため、業務自体も進まないし、結果アウトプットも出てこないことになる。その上、生産性向上や業務効率化を期待することも難しくなる。もっとも大事で不可欠な、そのホウレンソウに会議システムが果たせる役割があるからだ。
そしてもうひとつ、会議システムには企業リソースの再配分機会をつくり出すという役割がある。企業での、ヒト、カネ、そして時間などのリソースは限られている。企業は、それらの限られたリソースの最適配分を行うことで経営の舵取りを行っている。そういったところで会議システムは、特にヒト、カネ、時間のリソースを節約し、それらをほかの必要とするところに再配分する機会を作り出してくれるわけだ。