筆者のお気に入りのブロガーの1人Simon Wardley氏(古くからのクラウド専門家でもある)は、以前執筆した短編記事で、クラウドコンピューティングの価値を理解するに当たって鍵となる2つの言葉の意味を明確に示した。
この2つの言葉の意味の違いを初めて明らかにしたのはDouglas Rushkoff氏だったが、ここではその違いをもう一度確認しておこうと思う。
商品化(commodification:1970年代中期〜後期、一般語)は、経済的な価値を持たなかった物が価値を持つようになり、それ故に市場価値がほかの社会的価値に取って代わるようになるプロセスを表すのに用いられる。これまで商売と無縁だった関係が商業的な関係に変容することを表す。
コモディティ化(commoditization:1990年代前期〜中期、新造語)とは、経済的な価値を持ち、属性(独自性やブランド)という点で差別化を実現していた商品が、最終的に市場や消費者の目から見てありふれた商品(コモディティ)になるプロセスのことを指す。市場が差別化による価格競争から差別化のない価格競争へ移行すること。また、独占的競争から完全競争へと移行すること。
Wardley氏の記事全文を参照して、この2つの言葉がそれぞれどのように使用されているかを明確にすることをお勧めする。ここでは、これら2つの概念を確認するために、その定義を紹介した。というのも、コモディティ化と商品化がクラウドコンピューティングにどう適用されるかについて、いくつか興味深い議論がなされているからだ。
まず、一方の見解を紹介しよう。一般的なネットワークベースのソフトウェアすべてに当てはまるわけではないにせよ、少なくとも法人向けソフトウェアに関して、クラウドコンピューティングはインフラストラクチャの差別化の終焉を意味している、と考える人々がいる。その理論は以下のように展開される。
クラウドコンピューティングが、可能な限り広範囲の市場に向けて、中核的な機能(基本的なサーバ機能、さらにはJavaアプリケーションの実行まで)を提供するようになる。
その市場で、クラウド製品間で可能な限り容易に移植でき、可能な限り安価に実行できるアプリケーションが構築されるようになる。
そうなれば、インフラストラクチャは共通のアーキテクチャと運用標準に集約され、そうした中核機能に関しての差別化が排除される。
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