8月29日から9月1日にかけての4日間、マイクロソフトの開発者向けカンファレンス「Tech・Ed 2006」が横浜で開催された。
Windows VistaやOffice 2007の登場を間近に控えていることもあり、数多くのセッションが多数の参加者で賑わったが、中でも開発者の注目を集めたもののひとつは、同社が現在開発を進めている「Atlas」と呼ばれるAjaxアプリケーションのフレームワークと、ASP.NET 2.0を用いた開発手法にまつわる一連のセッションだった。
セッションでは、Visual Studio上で各種のコントロールを配置し、最小限のコーディングでリッチなAjaxアプリケーションを構築できる様子がデモンストレーションされた。また、IEとIIS、ASP.NETの組み合わせだけでなく、FirefoxとApacheおよびPHPの環境上でもAtlasが利用できることを見せ、クロスプラットフォームに対応しているる点が強調された。
Atlasの提供意図や、現在の開発状況について、Microsoft UI Framework and Services Product Unit ManagerのShanku Niyogi氏に聞いた。UI Framework and Product Unitでは、Atlasのほか、ASP.NETやWindows Forms、Windows Presentation Foundation(WPF)といった、クライアント向けフレームワーク全般を統括している。
--今回のTech・EdにおけるAtlas関連のセッションでは、あえてマイクロソフト以外のプラットフォーム(ブラウザ、ウェブサーバ、プログラムエンジン)上での動作もデモしていた点が印象的でした。マイクロソフトが、Ajaxアプリケーションの開発フレームワークを、クロスプラットフォームで提供する理由はなんですか。
もちろん、われわれはWindowsのクライアント、サーバ環境においてベストなユーザーインターフェースおよび開発環境のエクスペリエンスを提供することが重要だと考えています。しかし現在、アプリケーション開発の世界は、単一の技術だけですべてが完結するというものではなくなっています。どんなブラウザでも、どんなサーバ環境でも活用できる、オープンなアプリケーションが求められているのです。
われわれは、そうしたことを求めている開発者、ビジネスの意思決定者に対して、プログラミングモデルの相互運用性、柔軟性を提供することが重要だと考えています。
Atlasは、Ajaxを利用したアプリケーション構築のためのライブラリセットであり、プレゼンテーションプログラミングモデルの一部です。開発者がIE、FireFox、Safariといったさまざまなブラウザや、各種のプログラミングエンジンに適用できるように考慮しており、その提供や開発の進め方にも、かなり柔軟な方法をとっています。
もちろん、IIS、ASP.NETを開発者に使ってもらうことで最高のパフォーマンスを実現できるようにすることを第一に考えていますが、それ以外のシステム上で動作するアプリケーションに対しても、一貫したプログラミングモデルを提供することが必要だと考えています。