“まず人にとって読みやすいこと、機械はその次”--Brian Suda氏が語るMicroformats

末岡洋子

2006-10-05 16:47

 Web 2.0時代の技術として注目されつつある「Microformats」。ウェブ上のデータにセマンティックな意味を与えることでデータを利用しやすくする小さなフォーマットを揃えることを目指し、開発者コミュニティが広がりつつある。O'Reilly MediaからMicroformatsに関するeBookである「Microformats Shortcuts」を出版したBrian Suda氏にMicroformatsについて話を聞いた。

--Microformatsのプロジェクトはどうやってスタートしたのでしょうか?

 HTMLにセマンティックを与えるという考えは、以前からあります。HTMLには限度があり、表現できるエレメントが限られているためです。Microformatsは、このようなセマンティックをHTMLに付加する方法を探った結果生まれました。“まず人にとって読みやすいことが重要、機械はその次。(Human readable first, machines second)”をモットーに、人にやさしいフォーマットを目指しています。

 Microformats誕生の経緯を話すと、2002年ごろより、何人かが、ばらばらにフォーマットを作っていました。この中には、友達をマークアップするフォーマットである「XFN(XHTML Friends Network)」を開始した人もいました。その後2005年までの間は、同じような問題意識を持つ開発者が、ばらばらにフォーマットを作成していた時代です。

 そして、同じことをやっていると気が付きいた人が集まり、組織化されたのが2005年です。ウェブサイトを立ち上げ、体系化しました。現在、XFNはMicroformatsの一部になっています。開発作業は、Microformats.org上で進んでいます。

--Microformatsがどうして必要なのでしょう?

 ソフトウェア業界では、データを再利用する“オープンデータ”の動きが見られます。データ再利用のためには、外部者には分かりにくいフォーマットにするのではなく、フォーマットをオープンにして誰もが利用できるようにすることが必要です。これにより、ウェブページから別のウェブページへ、ウェブページからアプリケーションへとデータを移行したり、データをカレンダーやアプリケーションなどに保存したりできます。これが、Microformatsが目指しているものです。

 Microformatsがなければ、あるウェブページからデータを取得して別のウェブページに移行することは非常に難しいことになります。

 たとえば、同じ英語圏である米国と英国を見ても、日付情報の記入は異なります。米国では「月/日/年」の順であるのに対し、英国では「日/月/年」です。9月20日なら、20月は存在しないので理解できますが、1月2日の場合、誤解が生じます。

 ですから、これは日、これは月と構造を与え、表現することが重要です。場所の場合、通りの名前はどこで終わり、都市名になるのか、これをマシンが理解することは簡単ではありません。セマンティックを与えれば、マシンはより理解できるようになります。

Brian Suda氏 O'Reilly Mediaから「Microformats Shortcuts」を出版したBrian Suda氏。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ランサムウェアが企業防衛の常識を変えた!被害防止のために今すぐ実践すべき「3つの対策」とは

  2. セキュリティ

    「侵入ではなくログインされる」脅威が急増、再構築が求められるアイデンティティ保護戦略とは

  3. モバイル

    デバイス管理でゼロトラストを実現、急成長したスタートアップが選択したMDMツール

  4. ビジネスアプリケーション

    三菱電機が挑む「組織横断価値創出」変革。既存システムを活かし、開発を加速するデータ連携の最適解

  5. セキュリティ

    ゼロトラスト時代だからこそ改めて考えたい、セキュリティの基本原則「多層防御」アプローチ

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]