ボストン発--コンピュータ業界では現在仮想化技術関連の話題が盛り上がっているが、Microsoftなどの各社は、新しいタイプの仮想化技術の開発を進めている。
「VMware」「Microsoft Virtual Server」「Xen」をはじめとする仮想化ソフトウェアが今日大ブームとなっている。これは、1台のコンピュータで複数のOSを動かせるようにする技術だ。
ところが現在、より軽量のアプローチを採用した新しいタイプの仮想化技術が姿を現しつつある。このアプローチでは、1つのOSを独立した複数のセクションに分割することが可能になる。
このアイデアの詳細はまだ明らかになり始めたばかりだが、これらがWindowsやLinuxに搭載されるのはおそらく時間の問題だと思われる。ソフトウェアメーカーのSWsoftで最高経営責任者を務めるSerguei Beloussov氏によると、「これはどのOSベンダーにとっても必須のものだ」という。SWsoftの製品はこの軽量なアプローチを採用している。
仮想化をめぐる2つのアプローチの目標は同じで、どちらも1台のコンピュータをさらに効率的に利用するために、作業を複数に分割し、それぞれ独立したパーティションのなかで処理させるというものだ。また、いずれは計算処理の優先度に応じてソフトウェアのタスクがコンピュータ間を移動する流動的な形を目指している。
新しいアプローチではOS上での仮想化を行うが、この方法なら必要なメモリ容量が少なくて済み、一部のLinuxでは同じマシン上に多数のパーティションを持てるというメリットがある。同時に、いくぶん柔軟性とパーティションの独立性が犠牲になるというデメリットもある。
この技術はまずサーバで採用される可能性が高いが、PCでの利用も期待できる。この技術を使えば、PCユーザーも簡単にパーティションをつくることができ、それを使って新しいソフトウェアを試したり、仕事用とプライベート用に領域を使い分けたり、ウェブブラウザなどリスクを伴う可能性があるアプリケーションを隔離したりすることなどが可能になる。
このアイデアはすでにSun Microsystemsの「Solaris 10」で採用されている。同社は2005年前半にリリースしたSolaris 10のなかに「Solaris Containers」という機能を搭載している。そして、この技術が現在ほかのOSにも浸透しようとしている。
MicrosoftのMike Neil氏(仮想化技術製品部門マネージャー)は、同社が「コンテナ」「仮想プライベートサーバ」「仮想環境」などさまざまな名前で呼ばれる軽量な仮想化技術の開発に取り組んでいることを認めている。