Sun Microsystemsのオープンソースチップ計画は初期の段階である程度の成果が出ているようである。ただし、サーバとソフトウェアを扱う同社では、間近にせまった「Niagara 2」プロセッサのデザインを共有してさらに多くの企業を取り込もうとしている。
このSunのプランに早い段階で同調したのは、イギリスとイタリアで事業を展開するSimply RISC、そして中国のPolaris Microelectronicsの2社である。両社ともSunの「UltraSPARC T1」プロセッサ(開発コード名「Niagara」)のオープンソースバージョンである「OpenSPARC S1」をベースにした設計を行っている。
しかしこの両社を含めて、同調企業が将来連携して行うことになる仕事はこれだけではない。
Sunが再度立ち上げたマイクロエレクトロニクスグループを率いるDavid Yen氏は、Niagara 2およびその派生製品であるNeptuneネットワーキングチップについて、「我々の最終的な目標は、これらのSPARCプロセッサのデザインをオープンソースとして利用してもらうことである」と語っている。
Sunはすでに、おそらくこれまでで最もアグレッシブな、「独自仕様の製品から全く正反対のオープンソース」に向けた自社ビジネスの変革に着手している。オープンソースはコンピュータ業界で「当たり前のこと」になりつつあり、Sunが扱うほとんどのソフトウェアが現在すでにオープンソースとなり、また今後もオープンソースになるわけだが、ハードウェアのデザインも公開したのは例外的である。
同社のオープンソースソフトウェア計画と同じように、OpenSPARCプロジェクトは「まず関与ありき、売り上げは後からついてくる」という試みである。
IlluminataのアナリストであるGordon Haff氏は、本業であるSPARC事業以外の試みであるこのOpenSPARCを「単なる宣伝行為ではないことを示す実例」と評し、「ただ、Sunの他のオープンソース事業と同じように、この事業でSunが手にする利益は科学的真理というよりは信用の域にとどまっている」と語る。
Sunは「オープンソース事業は必ず金銭的な利益に繋がると確信している」と言う。前出のYen氏は「公開して詳しく知ってもらえれば、さまざまな状況でSPARCプロセッサを採用しようとしている人たちにとっては、弊社のシステムプラットフォーム製品も含めて、たとえそれが気持ちだけであったとしても新規参入時の敷居が低くなる」と語る。
SunはSPARCの知名度を高くしたいと考えている。一連のSPARCプロセッサ製品は、1990年代後半にインターネット関連企業が沸き立っていたときはサーバの頭脳に最適と考えられていた。しかし性能面で競合他社に遅れを取ってSPARCの存在感は薄れ、遅れが新規モデルにとって打撃となり、「ドットコム」バブルもSunのサーバビジネスの足をすくうこととなった。