ZDNet Japanは12月15日午後4時30分から48時間にわたり、WikiLeaksの一連の行動に関するアンケート調査を実施した。世界各国のZDNetブランドサイトでも同様の調査を実施しており、参加国は日本、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、アジア(シンガポール)、そして中国と、8サイトで展開した。
全世界のZDNet読者から1万1329件、うち日本国内から749件の投票を得た。本稿では国内の調査結果に加え、各国の比較グラフを紹介する。
なお、比較グラフではすべての設問で「Asia」の投票が0%になっている。これはZDNet Asiaの投票数をZDNet UKに合算したためである。また、ZDNet Chinaは設問8と9の回答を募らなかったことも付記しておく。
設問1「あなたはWikiLeaksによる機密文書の公開に賛成ですか?」
円グラフが日本での調査、棒グラフが各国の比較グラフ。設問1に対する国内の回答は、「はい」が448件(59.81%)、「いいえ」が148件(19.76%)、「どちらとも言えない」が153件(20.43%)だった。
各国の比較グラフを見ると、米国では「はい」が51.0%で、「いいえ」が46.0%という結果だった。ここまで「はい」と「いいえ」が拮抗している国は他になく、米国の結果が際立っている。なお、ドイツでは88.6%が、オーストラリアでは83.9%が「はい」に投票している。
設問2「WikiLeaksによって公開された情報は有益だと思いますか?」
国内における設問2の回答は、「はい」が449件(59.95%)、「いいえ」が110件(14.69%)、「どちらとも言えない」が190件(25.37%)という結果だった。
各国の比較では、多くの国で「はい」が70%を越えているが、日本と米国は60%程度にとどまった。日米における「はい」以外の40%の内訳では、米国は「いいえ」が36.0%だが、日本では「どちらとも言えない」が25.37%という結果になっている。
設問3「WikiLeaksの一連の行動は、情報を開示したいという動機に基づいたものだと思いますか?」
設問3の国内の投票は、「はい」が431件(57.54%)、「いいえ」が163件(21.76%)、「どちらとも言えない」が155件(20.69%)だった。
ここでも米国の「いいえ」の割合44.0%が際立つ。ここまでの設問で米国に顕著なのは、「はい」と「いいえ」で明確に別れ、「どちらとも言えない」が極めて少ないことだ。
設問4「WikiLeaksの一連の行動には政治的な動機があったと思いますか?」
国内の読者は設問4に、「はい」が379件(50.60%)、「いいえ」が186件(24.83%)、「どちらとも言えない」が184件(24.57%)と投票した。
ドイツでは52.7%、オーストラリアでは50.3%が「いいえ」と回答しており、他国の結果と一線を画している。また、日本と中国で「どちらとも言えない」と回答した層が比較的多いのも興味深い。
設問5「外交や軍事に関する文書の機密性を保つため、一部政府はWikiLeaksへのアクセスを制限しようとしています。これは正当な行為だと思いますか?」
設問5の国内の回答は、「はい」が220件(29.37%)、「いいえ」が439件(58.61%)、「どちらとも言えない」が90件(12.02%)。
米国では典型的な拮抗が見られるが、ドイツとオーストラリアでは「いいえ」が大勢を占めた。ここまでの結果を振り返ると、ドイツとオーストラリアの読者はWikiLeaksの活動に一定の理解を示す層が多いことがわかる。
なお、この設問においても、日本と中国で「どちらとも言えない」と回答した層が比較的多い。
設問6「一部政府は自国でのWikiLeaksのホスティングに消極的な姿勢を示しています。これは理解できる姿勢だと思いますか?」
設問6に対する国内の回答は、「はい」が370件(49.40%)、「いいえ」が302件(40.32%)、「どちらとも言えない」が77件(10.28%)。
これまでの結果では、ドイツとオーストラリアは同じ国の読者が回答しているのではないかと思えるほど結果が似通っていたが、設問6で大きな違いが生まれた。ドイツは「いいえ」が79.3%、オーストラリアは「はい」が63.2%となった。
設問7「ある国がWikiLeaksのホスティングを禁じた場合、他国が代わりにWikiLeaksへのアクセスを確保すべきだと思いますか?」
設問7への国内の投票では、「はい」が400件(53.40%)、「いいえ」が182件(24.30%)、「どちらとも言えない」が167件(22.30%)。
中国は74.0%が「はい」だが、16%程度が「どちらとも言えない」と回答。日本では全体の約4分の1が「どちらとも言えない」に投票している。
設問8「WikiLeaksを支援する組織が行ったとされるDoS(サービス拒否)攻撃は、正当な抗議行動だと思いますか?」
設問8の国内の回答は、「はい」が93件(12.42%)、「いいえ」が554件(73.97%)、「どちらとも言えない」が102件(13.62%)。
「どちらとも言えない」という回答によってのみ特色を示していた日本が、不得手な言葉とされる「いいえ」で特色を示した。また、どの国においても、DoS攻撃を正当な抗議であるとの回答が半数を越えることはなかった。なお、ZDNet Chinaではこの設問で投票を募集していない。
設問9「WikiLeaksをめぐる一連の事件は、あなたが所属する組織のデータセキュリティを見直すきっかけになりましたか?」
設問9の国内の回答は、「はい」が189件(25.23%)、「いいえ」が386件(51.54%)、「どちらとも言えない」が174件(174%)。
米国では、データセキュリティを見直すきっかけになったと回答した割合が比較的多かったが、全ての国で「どちらとも言えない」という判断保留の姿勢が増えている。また、ZDNet Chinaは設問9についても投票を募集していない。
日本の調査結果と各国の比較の紹介はここまで。読者には是非、ZDNet UKがまとめた調査レポート「WikiLeaks事件をどう考えるか--世界の読者に一斉調査」も参照頂きたい。