既存の情報から新たな“知”を
生み出すことが可能に
栗原氏によると、KM2.0では次の3つのプロセスを経ることで企業における情報活用が高度化されるという。最初の段階は、これまで蓄積した情報をベースにブログやSNS、Wikiなどを活用して自由な議論を行うことで、新たな情報を生み出す「知識形成フェーズ」だ。この段階では、社員によって過去の情報の掘り起しが活発に行われるほか、社員が情報に自発的にタグ情報を付加することで、社員の主導により情報の分類が進められる。
次の段階は、知識形成フェーズで作成された情報、いわゆるフロー情報の中から、重要だと考えられるものを取捨選択する「知識ストック化フェーズ」である。知識形成フェーズで作成される新たな情報は、誤りを含んだものも数多い。そこで、この段階で情報の精度や価値を踏まえ、積極的に活用すべきものを見極めるわけだ。
そして最後の段階が、フロー情報とストック情報の相互を活用する「知識活用フェーズ」である。すでに述べたように、フロー情報には誤りが多いものの、情報の鮮度が高いという特性がある。そこで、ケース・バイ・ケースでストック情報とフロー情報を適切に組み合わせて活用を進めることで、業務の高度化を実現しようというわけだ。もちろん、この段階ではストック情報からフロー情報を生み出すとともに、それらのストック化を図る作業も継続的に実施される。
「このように情報活用の高度化を進めるためには、まずはシステムを使ってもらうことが最も重要。そこで、利用の敷居を下げるという点で、ブログなどのWeb2.0的技術やESPが果たす役割は極めて大きい。一方で、全社的な情報活用を進める上で、セキュリティの問題を避けて通ることはできない。そのため、事前にセキュリティに関する内部統制や監査のポリシーを確立しておくことが企業には求められる」(栗原氏)
一方で、理想とされるナレッジマネジメントの仕組みは、業務の進め方にも左右されるため、企業ごとにそれぞれ異なる。このことを踏まえ、栗原氏は講演の最後に「KM2.0のフレームワークをベースに、自社のナレッジマネジメント戦略に合致したかたちでシステムを発展させて欲しい」と述べ、講演を締めくくった。