それでは、ビジネスインタラクションにおいてエンタープライズサーチはどのような役割を果しているのだろうか。松本氏は「企業システム内の検索を行うビジネスユーザーが、エンタープライズサーチソリューションによって"何を""どのように"探すのかが重要だ」とした上で、検索に対する考え方が従来とは大きく異なっていることを語った。ここでは"何を探すか＝カバーすべき検索対象""どのように探すか＝検索時のインターフェース"と言い換えることができる。
まず従来の検索対象は、Word/PowerPoint/Excel/PDFをはじめとしたオフィスドキュメントやWebコンテンツなど、具体的な内容が大半であった。しかし、現在ではこれらを検索できるのは当たり前。エンタープライズコンテンツでは、ナレッジ/コラボレーション/システム/ドキュメントといった大きなジャンルとして、検索対象をとらえるべきであるという。つまり、この段階では拡張子など具体的なことではなく、どのような情報の種類があるのかという分類こそが重要になる。
次に検索インターフェースについては、数多くの入力項目や検索場所の指定など、詳細な条件指定により厳密な検索を実現しているのが従来の姿だ。しかし、ある程度の絞り込みを行うには情報の場所を事前に知っている必要が出てくる。これでは何のためにエンタープライズサーチが存在するのか分からず、本来のメリットを活かしきれていない。そこで、エンタープライズコンテンツで重要になるのが"どこから探すか"ではなく"何を探すか"という、目的志向のビジネスサーチである。
松本氏は「Webサイトを検索する際、通常はドメインやサーバの限定を行わないはず」とし、ユーザーが意識させず検索ができることの重要性を強調した。ただし、インターネット上の検索と異なるのは、システム側で検索セキュリティを確保する必要があること。ユーザーのプロファイルをベースとしたセキュリティ確保が、機密データの保護や重要情報の必達にもつながるのである。
これらを踏まえた上で、松本氏は「ビジネスインタラクションにおけるエンタープライズサーチの具現化は、ポータル基盤に帰結する」とした。同社ではポータルを、大規模なショッピングモールと同様の発想でとらえている。ショッピングモールでは、アクセスの容易性と、多彩な利用者のタイプに応じたエリア選択および利用が不可欠となる。さらに、有名かつ人気のあるアンカーショップと、有名ではないが少数ユーザーに強く支持されるショップが共存しているという環境も、ポータルと共通性がある部分だ。
ポータルとは、既存のプラットフォーム/ユーザー管理システム/コンテンツ/アプリケーション/グローバルユーザーを用いて"後から入る"ものを意味する。つまり、これらすべてが考慮されているソフトウェアであることが求められるわけだ。同社では、ポータルはエンタープライズコンテンツを包括的に利用する最良の方法であり、エンタープライズコンテンツはすべてのビジネスユーザーによって容易かつ適切に利用されることで真価を発揮する、としている。松本氏は「このポータル基盤を実現するのが、エンタープライズサーチをカバーする『Grid Search』を含む、『AquaLogic User Interaction』である」と語った。
