ニューヨーク発--Microsoftでは2006年に、企業社員の生産性を向上させるリリース予定製品のプロモーションに5億ドルを投じる予定だと、同社最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏が米国時間3月16日に明らかにした。
Ballmer氏はMicrosoftが当地で主催したユーザーイベントで、今後1年以内に発表されるソフトウェアが企業内のインフォメーションワーカーに向けたものであることを聴衆に話した。同イベントは、IT部門社員や開発者よりも、CEOのような企業幹部を特に対象としている。
Ballmer氏はみずからの基調講演後の記者会見で、インフォメーションワーカーは過去数年間、製品開発においては「あまり顧慮されてこなかった」と述べた。
Microsoftは、「Windows Vista」および「Office 2007」スイートを2006年末までにリリースする予定である。また、「Exchange」電子メールサーバソフトウェアに関する広範なコミュニケーション製品ラインの提供準備も進んでいる。
Ballmer氏は、2006年のMicrosoftがエンドユーザーに焦点を絞り込んでいる様子は、PC黎明期にエンドユーザーの関心をひこうと社を挙げて取り組んでいた頃をほうふつとさせると話した。
「多くの点で、われわれは今でも(Microsoftの創業者である)Bill GatesとPaul Allenの『Empowerment(力を与えること)』という信念から影響を受けている」(Ballmer氏)
Ballmer氏は、企業を販売対象とする際のIBMとMicrosoftのアプローチを比較して、前者はテクノロジー企業ではなく、コンサルティング企業としての立場を強めつつあると述べた。
「われわれは企業で働く人々の生産性を高めることに日々努めているが、IBMはプロジェクトを進めることに主眼を置いている」(Ballmer氏)
Ballmer氏はさらに、Microsoftが今後発表するソフトウェアは同社にとって新しい分野の製品で、売上の増加をもたらすだろうとも話した。
とりわけ、Office生産性スイートや、「SharePoint」ポータルソフトウェアといったサーバ製品の新バージョンの発表によって、ビジネスインテリジェンスおよびコラボレーションなどのタスクに対応したソフトウェアを同社が提供していく可能性が生まれるという。
Microsoftのビジネス部門バイスプレジデントChris Capossela氏は、同イベントのプレゼンテーションで、これから発表する製品のデモンストレーションを行った。これらの製品は、例えば商品のプレゼンテーションに備えるため企業ネットワークを検索したり、販売実績を分析したりするといった、典型的なビジネス業務における効率性を向上させる方法に関するものだった。こうした業務では、特定のツールでなく、Officeベースのアプリケーションが用いられている。
一方、GartnerのアナリストであるTom Austin氏は、IBMは確かにコンサルティングビジネスに積極的に力を入れているが、企業社員の生産性を上げるためのソフトウェア開発も続けていると指摘した。
Microsoftの方がIBMよりも個人を対象とすることに焦点を絞り込んでおり、また、さまざまな製品を組み合わせて提供し、大きな価値をもたらしていると、Austin氏は話す。しかし、企業ユーザーが統合性の高い製品からメリットを得ようと思えば、Microsoft製品にますます依存しなければならなくなってしまう。
「Microsoftが提供しているのと同じだけの価値を提供して顧客を囲い込んでいる会社はない。あれだけの価値を提供しているところもないのが現状だ」(Austin氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ