検索は検索ボックスに入力したキーワードに対応する検索結果のリストを表示するだけのものではない。データを複合的に扱い、検索者の意図を把握し、それに合致した結果を適切かつ効果的に表示することで、使いやすいショッピングサイトの構築や著作権侵害・犯罪を検知することにも活用されるようになってきている。検索+イノベーションによって生み出された新しい検索の使い方とその効果、今後の発展についてファストサーチ&トランスファ株式会社シニア・ソリューション・コンサルタントの清水孝郎氏が語った
検索+イノベーションが生み出す新しい検索の世界

ファストサーチ&トランスファ株式会社
シニア・ソリューション・コンサルタント
清水孝郎氏
増え続ける膨大なデータとコンテンツに対して、どのようにビジネスに必要かつ適切なコンテンツを探し出すことができるのか、ということが現在大きな課題になっている。
「単純にデータ量が増えるだけでなく、媒体の種別も増えている。画像や映像、音声、音楽など多種多様なデータフォーマットがある中で、自分が見つけたい情報を見つけるための検索技術は、かなりチャレンジングなテーマといえる。そして現在は、従来の検索技術では考えられなかったことが実現できるようになってきた。それは、検索におけるイノベーションによって生み出されるFASTのソリューション群である」と清水氏は語る。
マーケットの潜在的可能性が拡大方向であることと、検索の革新度がイノベーション型であることを軸に検索対象の分布を考えた場合、従来のウェブサイト検索やイントラネット検索などは最も成熟したマーケットであり、従来型の検索スタイルであるといえる。つまり、拡大マーケットからは遠く、革新度も低いということになる。
これが少し進んだものが、これまでのショッピングサイト的な「Eテイリング」であり、さらにビジネスインテリジェンスへの検索の活用と繋がる。しかし、これらも従来の検索の範疇に入る。
さらに進めたものとして、ナレッジマネジメントやインフォメーションマネジメント、プレミアムコンテンツ配信、エンタープライズEコマースといった、従来の検索イメージから離れたものが登場してくる。最も拡大マーケットであると見込まれ、さらなるイノベーション型に近い革新度を持つターゲットはなにか、と考えた場合、その対象として、「コンプライアンス規定」などを含むコンプライアンスコンテンツの統制、「脅威・不正探知」などを含む探知、監視執行などが候補に上げられるだろうと清水氏は分析している。
「例えば、テロの脅威に対するアラートを検索技術のイノベーションで発見する。あるいは不正探知では、金融機関においてマネーロンダリングが行われていることを検知する。また言語的なデータクレンジングによって多言語の顧客情報を一意に統合する、というようなことも最近では、検索+イノベーションで実現しはじめている」と清水氏は最新の検索事情を紹介した。