5月22日に開催されたエンタープライズサーチカンファレンス。このイベントには企業内統合検索基盤(ESP:Enterprise Search Platform)の有力ベンダーが集まった。Googleもつい最近ESP市場に参入している。同社のエンタープライズ部門でパートナープログラムマネージャーを務めるKevin Smith氏に、話を聞いた。
--主要なITベンダーがESPに参入する中で、Googleの優位性はどんなところにあるのでしょうか。
企業内にあるほとんどの情報を1カ所から検索できるというところにわれわれの優位性があると思います。しかも対象となる情報は、インデックスされたものだけではなく、その時点で生成・編集されている動的なものも検索することができます。
また、われわれのユーザーインターフェース(UI)も他社に比べてエンドユーザーに対してメリットをもたらします。われわれのウェブで多くのユーザーに使ってもらっているUI、つまり「Search Box」を中心としたUIは、企業の従業員に対しても使い勝手のいいものとなるでしょう。というのは、ウェブの方のエンドユーザーと企業の従業員は、同じ人間だからです。そういった意味で、われわれが提供するUIは他社に比べて優位性があると考えています。
--ESPでは、検索する機能はもちろん重要ですが、検索結果の見せ方が重要だといわれることがあります。Googleが提供する「Google Desktop for Enterprise」や検索用のアプライアンスである「Google Mini」や「GB-1001」などの検索結果を企業ごとにカスタマイズすることはできるのでしょうか。
もちろん、検索結果のレイアウトはXMLのスタイルシート言語であるXSL Transformations(XSLT)を利用することで企業ごとに、あるいは部署ごとにカスタマイズすることができます。
われわれはエンタープライズのニーズが多様であることを理解しています。しかし、機能を使う立場のエンドユーザーのニーズは同じであると考え、企業向けの製品であっても、同じUIであることが重要だと考えています。
--企業内で蓄積される情報の50〜75%は、本社やデータセンタではなく、地方の拠点に置かれたファイルサーバにあるといわれています。Google MiniやGB-1001などは、こうしたファイルサーバも検索できるのでしょうか。
拠点に置かれたファイルサーバであっても、ネットワークのどこを見ればいいかを指定することで、検索の対象とすることができます。われわれから見ると、情報というのは分散して存在していることの方が一般的であって、むしろ情報が1カ所に集中して存在していることの方が不思議だと思います。
--日本で4月下旬に発表された企業向けOneBox機能ですが、これはOraclやCognos、SAS Instituteなどのアプリケーションのデータも検索可能となったことで注目されました。
OneBoxのアイデア自体は以前からあったのですが、実際にはアプリケーションベンダーの協力が必要でした。OneBoxの提供開始時には、OracleやCognos、SASなど計7社とパートナーシップを結び、各社のアプリケーション向けのモジュールが提供されるようになっています。また5月に入ってからはBusiness Objects、Information Buildersもサポートを表明しています。
OneBoxに対して、CognosやSAS、さらにBusiness ObjectsやInformation Buildersといったビジネスインテリジェンス(BI)ベンダーがサポートしています。これは各BIベンダーがOneBoxがもたらす機能にメリットを感じたからだと思います。分析や予測などができるBIは現在、競争の激しい分野となっていますが、各BIベンダーは、OneBoxへのサポートがユーザー企業にメリットをもたらすと考えたのだと思います。OneBoxをBIに対応させるというのは、OneBoxの使い方としていい使い方と考えています。
--GB-1001などのGoogle検索アプライアンスは、Lotus Domino環境との統合ができるようになっていますが、しかしIBMはOneBoxへのサポートを表明していません。
それは、サードパーティ企業が提供するサービスによるものですね。サードパーティ企業が提供するサービスでは、Lotus Dominoに加えてMicrosoft Exchangeとの統合もできるようになっています。
--今いわれた、IBMやMicrosoftがGoogle検索アプライアンスをサポートするといったことはあるのでしょうか。
残念ながら、今後の他社との関係はお話しすることができません。
--Google検索アプライアンスに対して、ユーザー企業からはどのような反応がありますか。
OneBoxを提供するようになってから、企業内検索のシステム導入を検討する企業が増えてきたということを実感しています。企業内に存在する文書がデータ化されてきたことを受けて、検索の必要性を感じていることの表れだと思います。