海外アウトソーシングは安全か--インドでの不正送金事件発覚で議論が再燃

Ed Frauenheim(CNET News.com) 2005年04月27日 19時13分

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 4月初め、米国顧客の銀行口座情報を利用して金銭を不正に入手したとして、インドの企業に勤める従業員が逮捕される事件が起きた。この事件をきっかけに、米国では、機密情報取り扱い業務を海外企業に委託することの可否をめぐり、議論が巻き起こっている。

 海外に業務を移転することについては様々な意見がある。リスクなど存在しないという人もいれば、逆に、米国の国家主権を失うことになりかねない危険性をはらんでいると述べる人もいる。

 今回の事件では、複数の米国人が所有する銀行口座から計35万ドルを盗んだ疑いで、Mphasisのコールセンターに勤めていた元従業員らが、現地警察に逮捕された。

 この事件を受けて一部の観測筋は、インドのアウトソーシング企業が処理するデータのセキュリティについて懸念を表明している。また、これらのアウトソーシング企業では従業員を採用する際に、きちんとした調査を行っていないのではないかと、観測筋は述べる。このような見解を示す人々は、Mphasisの事件を受けて、 コールセンター業務を海外に委託する企業は著しく減少するだろうと予測する。

 Forrester ResearchのアナリストJohn McCarthyは先頃発表したレポートのなかで「これは、ちょっとした判断ミスとか、顧客サービスのまずさといった問題ではない。今回の犯行は、顧客から金を盗むために計画的かつ組織的に仕組まれたものだった」と述べている。「最近では米国内でも顧客情報の情報流出事件が相次いで起きているため、人々はこの手の事件に敏感に反応するようになっている。今回の事件は、海外のビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)市場に悪影響を及ぼすだろう」(McCarthy)

 誰もがこの考え方に同意しているわけではない。しかし、海外企業に業務を委託することに危機感を募らせている人が存在するだけで、市場は悪影響を受ける可能性が高い。

 別の市場調査会社Gartnerは、セキュリティリスクはさほど深刻な問題でないとしつつも、この状況について真剣に考える必要があると述べる。「インド政府や同国のアウトソーシング業界は、インドの企業に業務を委託するのは危険だというイメージを払拭すべく、断固とした態度を迅速に示す必要がある」と同社の報告書には記載されている。

 BPOとは、企業がカスタマーサービスやトランザクション処理などの業務を外部の企業に委託することをいう。委託された業務は米国内で処理されることもあれば、インドやメキシコなどの低賃金諸国で行われることもある。また、自分たちで海外に会社を設置する米国企業などもある。米国の労働者支援団体は業務の海外移転に反対している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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