第12回 層をまたぐ可視化がEA成功の鍵

近藤佳大(みずほ情報総研) 2005年06月24日 08時00分

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 企業がEAを導入する際には、各種業務や経営課題、基幹システムを構成する各サブシステムなどのビジネスにおける多種多様な“構成要素”を、ビジネスアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、データアーキテクチャなどのいくつかの層に分類して、それらの間の関係を明らかにしていくことになる。

 たとえばビジネスアーキテクチャでは、業務を構成するさまざまな活動が行われる順序をワークフロー図で図示したり、業務を多数の機能に分け、それらの間での情報のやり取りの関係を機能情報関連図に図示したりする。アプリケーションアーキテクチャの場合には、構成要素は企業に存在する各情報システム(サブシステム)となる。そして、それらの間で情報のやり取りを行っているかどうかなどの関係が情報システム関連図に図示される。データアーキテクチャで示されるのは、情報システムにデータを保存しておくために使われる表(テーブル)間の関係を示すER図などである。この場合は、表(テーブル)が構成要素になる。

 このように、各層の中で構成要素間の関係を示す方法は十分に確立されているため、さまざまに存在するバリエーションの中から選択して図式化を進めていくことができる。これらの図は、EAが注目される以前から利用が進んできたものであり、長年の利用により洗練されている。一方、各層をまたぐ関係を図示する方法については、洗練された形式の確立が遅れているのが現状である。とくにビジネスアーキテクチャの構成要素とその他のアーキテクチャの構成要素の関係を図示する方法はあまり知られていない。

 このことが、企業がEAを導入するにあたって直面する大きな壁になっている。これを乗り越えることができれば、EAの投資対効果は格段に向上する可能性がある。それは、ビジネスアーキテクチャと他のアーキテクチャの関係が完全に可視化されれば、経営課題の解決に結びつく情報システムの具体像が誰にも明らかな形として見えてくるからである。「経営ニーズのITへの反映強化」を目指してEAを実施する場合には、特にビジネスアーキテクチャと他のアーキテクチャの関係を示す手法、方法論を持っているかどうかが、成功の鍵を握ることになる。

(みずほ情報総研 システムコンサルティング部 近藤 佳大)

※本稿は、みずほ情報総研が2005年5月10日に発表したものです。

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