「セキュリティ2.0で安全なオンライン社会を」--シマンテックの次世代セキュリティ戦略

藤本京子(編集部)

2006-05-11 19:15

 米国サンフランシスコにて開催中の「Symantec VISION 2006」3日目となる5月10日、基調講演に立ったSymantecのコンシューマー製品兼ソリューション担当シニアバイスプレジデント Enrique Salem氏は、同社の提唱する次世代のセキュリティコンセプト「Security 2.0」について語った。

 Security 2.0は、Symantecが製品やサービスの方向性として打ち出した新たなコンセプトだ。「Security 2.0によってユーザーは、システムやデータの安全性はもちろん、オンライン取引における信頼性や利便性、検索結果でのサイトの安全性確認、ID保護などが可能となる」とSalem氏は述べた。

PHOTO Security 2.0について説明するSymantecのEnrique Salem氏

 その一環としてSymantecは、Security 2.0をウェブ上のポータルとして展開する予定だ。ポータルの機能の一例としてSalem氏は、ウェブ検索を実行した際に、検索結果のリンク先が安全なサイトかどうかを表示する機能を披露した。

 このポータルサイトにアクセスする際には、二重認証で安全性を確保する。いったんこのポータル内に入れば、安全な環境でさまざまなサービスに簡単にアクセスできるよう、例えばECサイトやオンラインバンクなどと提携し、提携先のサイトには認証プロセスなしでアクセスできるようにするといったサービスも予定している。ただし、ポータルサイトの具体的な提供時期などは明らかにしていない。

 Salem氏は、「ある調査では、ネット上で個人情報を入力することを恐れているユーザーが53%、オンラインバンキングで入金することを止めたユーザーが14%という結果がでている。これではオンライン取引の市場が縮小してしまう」と警告した上で、「Security 2.0では、BtoB、BtoC、CtoCなどのすべてのオンライン取引が安全に行われるようになる」と述べた。

 Security 2.0のコンセプトの元で最初に製品化されるのは、2006年9月に発表予定のセキュリティソフト「Voyager」(コードネーム)だ。Voyagerは、オンラインでのトランザクション管理を行うソフトで、パスワードの安全性確認や、危険なサイトにアクセスしようとすると警告を与える機能などがついている。

 Voyagerのデモでは、万が一悪意を持ったハッカーにPC上の動きが丸見えになってしまう「クライムウェア」がインストールされてしまった場合も、ECサイトのレジなど重要な取引が行われる場面になるとハッカーからは何も見えなくなってしまう機能が紹介された。

 Salem氏はVoyagerの特徴として、「サイトの安全性を確認するウェブプロテクションやクライムウェアからのプロテクション、そしてパスワードなどの機密情報の管理が容易になる」と説明した。

 Security 2.0の製品第2弾も年内には発表が予定されている。それは、夏にベータ版が登場する予定の「Genesis」(コードネーム)だ。Salem氏はGenesisを「次世代のPC向けセキュリティ製品」と位置づけている。具体的には、現在同社が提供している「Norton Internet Security」のように、ウイルスやスパイウェアなどからシステムを守る機能はもちろんのこと、デジタルコンテンツを安全に保管して検索できるメディアプロテクション機能、Voyagerの要素を取り込んだトランザクションプロテクション機能、そしてPCのパフォーマンスを最適化する機能などが提供される。「これほど広範囲に渡る機能をひとつの製品で提供するのははじめてだ」とSalem氏は言う。

 Genesisは、パッケージ製品としてCDでも入手可能だが、基本的にはサービスとして提供される予定だ。ソフトウェアのアップデートなどはすべてインターネットを通じて提供される。

 Salem氏は、「脅威の範囲が常に変化していることを把握しなくてはならない。昔、ハッカーは自分の腕自慢のためにハッキングしていただけだったのが、今ではハッカーの目的も悪意を持った金銭狙いの攻撃が中心となっている。だからといってインターネットの使用を止めるわけにはいかない」と話す。同氏は続けて、「オンライン取引の安全性を確保するのが、業界リーダーでもあるSymantecの役目。それをSecurity 2.0で実現したい」と述べた。

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