OSSを阻害する要因のひとつはステークホルダー--IPA第2回OSS導入実証報告(1)

萩原弘明 2007年04月27日 21時08分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 情報処理推進機構(IPA)オープンソースソフトウェア・センター(OSSセンター)による2006年度「自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証連絡会議」が4月25日、東京・文京区の同法人本部で行われた。

OSS=公正な入札価格と地域活性化の手段

 このなかで地方自治体におけるオープンソースソフトウェア(OSS)の普及について講演したIPA OSSセンター主査の伊藤佳美氏は、自治体のITシステムの現況について以下のように分析している。

 まず第1は、システムを取り巻く環境の変化だ。各種の電子申請など新しい住民サービス、インターネットに代表される新しい情報の活用、地域活性化など自治体のシステムはかつてない変化を求められているという。

 第2は自治体間の関係に起因する問題である。周囲の自治体、あるいは広域的な知財の共有が進まず、各自治体は個別にシステムを構築している。実際、行政サービス上の相違から、ある町ではうまく機能しているシステムだからといって、他の町にも問題なく適用できるというものではないという。このことはコストの問題にも関わってくる。大都市ならともかく、中小の自治体ではITシステムに割ける予算も限られているからだ。

 第3は自治体内部の問題だ。1970年代初頭に初めてシステム化に着手した自治体が多く、住民台帳や納税記録、財務、人事・給与といった基幹業務は現在で言うレガシーシステム上に構築されている。このためベンダーによる「抱え込み(ロックイン)」が発生しており、割高な開発・サポート料を支払っているのだという。こうした高コスト体質を排し、公正でオープンな競争環境を実現するとともに業務自体の効率化も実現する必要がある。特に昨今、公正な競争は危急の課題となっており、早期の実現が求められている。

 伊藤氏は、これを解決する有力な手段がOSSであるとする。まず地域産業に与える影響が見込まれる。オープンなスタンダードの導入により、地元の情報サービス業者が参入しやすくなる。現実にシステム開発を分割発注すると、今まで参入してこなかった業者も「この部分ならうちでも出来そうだ」と参入してくる例が少なくないとのことだ。結果として地域活性化につながり、かつ情報サービス産業全体がスキルアップするという好循環になる。

 次に自治体間の知財共有が進むだろう。オープンソースに基づくITシステムであれば周辺自治体にも公開しやすくなるし、経験やスキルも共有できるようになると考えられる。

 自治体内部では前述の通り参入業者の増加とオープンなスタンダードの導入による公正な価格の実現が可能になり、また新規開発やメンテナンスにかかるコストも削減可能となる。ただし、OSSは万能薬ではない。本格的に導入しようとすれば個々のデータの洗い出し、その保持の仕方、必要な機能や性能といった要求仕様の取りまとめなど、これまで自治体があまり経験しなかった業務が発生する。いくらOSSだといっても構築時のイニシャルコストは決して安いものではないと言える。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
ビジネスアプリケーション

関連ホワイトペーパー

SpecialPR