「Wikipedia」と「Ubuntu」の創設者ら、オープンエデュケーションの支援構想を発表

文:Andrew Donoghue(ZDNet.co.uk)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル

2008-01-23 13:51

 「Wikipedia」のJimmy Wales氏と「Ubuntu」のMark Shuttleworth氏は、公的に資金を提供された教材をインターネット上で自由に利用できるようにする構想を支援していく。

 現地時間1月22日に発表された「ケープタウンオープンエデュケーション宣言」の支持者たちは、このイニシアティブはオープンソースがプロプライエタリソフトウェアの世界に対して破壊的な効果をもたらしたことを踏まえて、教材の開発と流通をオープン化することを目的としたものであると述べている。

 この構想は30人のオープンエデュケーションの指導者たちがケープタウンで会合を開いた結果、誕生した。この会合を組織したのは、Open Society InstituteとShuttleworth Foundation(Ubuntuの創設者Mark Shuttleworth氏が設立した慈善団体)である。

 「われわれは過去20年以上にわたって、共同的に制作されているオープンソースソフトウェアが個々の問題を解決するために使用され、さらにはすべての人の問題を解決するために共有されるのを見てきた」とShuttleworth氏は述べている。「今日、われわれは教育分野でも同じように魅力的な何かを構築できるプロセスを立ち上げることができると思っている。いつかきっと、ニュージーランドの教師が中国の学生と協力し合って教材を作成し、それを南米の学習者が利用できるようになるというすばらしい日が訪れるだろう」(Shuttleworth氏)

 この宣言では、出版社と各国政府は公的な資金提供を受けた教材をオンラインで自由に利用できるようにするべきであると述べられている。これによって、ちょうどWikipediaが参考資料の分野で実行しているように、学習者は常に更新された教材にアクセスできるようになると主催者らは主張している。

 「オープンエデュケーションによって地球上のあらゆる人が、ウェブ上の広大な知識のプールに貢献し、またそれを利用できるようになる」とWikipediaの創設者であり、宣言の著者の1人であるWales氏は述べている。「誰にでも何かしら教えられることがあり、また学ぶべきことがある」(Wales氏)

 Wikipediaは人気も高いが、批判的な意見がまったくないわけではない。Wikipediaは不正確な、悪意ある、または本質的でない記述が取り込まれていると非難されてきた過去があるが、それと同じ状況に教材を置こうとする今回の動きに対して一部の批評家は懐疑的になるだろう。

 宣言の文書は、教育に対するオープンかつ共同的なアプローチを開発するという支持者らの構想を詳述するともに、この目的を達成するためには多くの障害があることも指摘している。

 「この構想を実現するには多くの障害がある。ほとんどの教育者は、あいかわらずオープンエデュケーション資源の拡大しつつあるプールに気づいていない。多くの政府や教育機関もオープンエデュケーションの利点に気づいていないか、それに納得していない。また、オープンな資源に対するライセンス供与スキームが統一されていなければ混乱と矛盾が生まれる。そして言うまでもなく、世界の大多数の人々は、現在のほとんどのオープンエデュケーションの取り組みに不可欠なコンピュータやネットワークへのアクセスを手にしていない」と同宣言は指摘している。

 この宣言のその他の署名者には、ミュージシャンでありReal World Studioの創設者であるPeter Gabriel氏、Creative Commonsの創設者兼最高経営責任者(CEO)であるLawrence Lessig氏などがいる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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