進化するテレビ会議(9)--データ共有でメリット活かすウェブ会議システム

橋本啓介(CNAレポート・ジャパン) 2008年04月10日 12時00分

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欧米とアジアで異なるウェブ会議のイメージ

 ウェブ会議システム(web conferencing)は、映像や音声に特徴のあるテレビ会議システムとは違い、データの共有に最も特徴のあるクライアント/サーバ型の遠隔会議システムである。

 PCを使ったコミュニケーションシステムの発想は、古くは1970年代後半、PCの黎明期に発刊された『The Network Nation』(Hiltz and Turoff著)に出てくる“Computerized Conferencing”にあると言われている。それ以後、「Telewriter」や「Audio-graphics」時代を経て、インターネットが普及を始めた1990年代では、“Multimedia communications for the Web Site”などさまざまな名称で呼ばれることもあったが、現在は、“Web Conferencing”という言葉が定着するようになってきている。

 市民権を獲得しつつあるウェブ会議だが、そのとらえ方はアジアと欧米で若干違いがある。日本や中国などでは、データ共有に特徴がある“PC版テレビ会議システム”というイメージが一般的だが、それに対して北米では、“電話会議システムを補完するためのデータ共有機能”としてのイメージが強い。なぜなら、技術応用の観点から、アジアでは映像からウェブ会議に入ったが、北米では電話会議から入ったという違いがあるからだ。

 北米では電話会議の歴史は長く、コモディティ化している。社内ミーティングや出資者への業績発表のほか、顧客との商談などで頻繁に使われている。ある航空会社が電話会議をライバル視したCMを流すくらいだ。

 米国のウェブ会議システムベンダーの多くは、こうした背景から、まずコモディティ化した電話会議に付加する資料共有システムを考えており、相手の顔を見るという発想はあまりなかった。そのため米国のベンダーが提供するウェブ会議システムに、映像の機能が初めから提供していなかったりすることは珍しいことではなかった。「アジア市場は映像を重視している、だったら映像機能をオプションとして提供しよう」という感覚が近い。一方のアジアでは、テレビ会議システムの高価さがPCベースのシステムであるウェブ会議開発への原点になったという感がある。

 日本ではサーバ導入を主体としたウェブ会議システムベンダーが2001年頃以降から数十社以上提供してきたが、ここ数年、ASP型サービスも同時に提供するところも増えてきた。また最近は、SaaS(Software as a Service)型で提供する事業者も出てきた。このサービス系のウェブ会議は今後も増えていく傾向を見せている。一方世界最大の北米のウェブ会議市場は、ASP型サービスが今まで牽引してきたと言われているが、その裏では、電話会議サービスのユーザー企業でのコモディティ化が大きく後押しした形となっている。


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