富士通は1月20日、都内で記者発表会を開催し、企業向けWindowsタブレットとPCとして4シリーズ6機種を発売すると発表した。企業向けでは、手のひら静脈センサを内蔵したのが特徴。さらに、VMwareやCitrixの仮想デスクトップ(VDI)環境でも利用できるようにすることで、企業が生産性とセキュリティを両立したシステム環境を構築できるようにしている。
企業が利用する認証技術は、今もパスワード方式が主流である一方で、利用するアプリケーションの数や1人が持つ端末数は増えている。単純に「覚え切れない」という問題だけでなく、パスワードを盗まれた際の被害を食い止めにくいことなども課題と言われる。
その解決策として、富士通は独自技術という手のひら静脈センサを掲げる。従来の指紋認証と比較して、手のひらは読み取り面積が大きいことや照合時間の短かさ、読み取りエラー率が大幅に低くなっているといった事情があり、より現実的な選択肢になってきているという。
また、システム規模を広げることで、企業の入退出などさまざまな場面での認証基盤を共通化できるなど、拡張性もあるという。読み取りエラーが起きた場合には、パスワード認証で代替するといった処理も可能とのこと。
企業がごく普通に利用する想定だと、デメリットがあまり見つからないと同社は自信を見せる。コスト面では、PC1台につき概ね1万円程度を上乗せする計算だ。
ただし、生体認証全体という意味では、大手都市銀行が既に指静脈認証などをキャッシュカードに導入しているが、読み取りエラーによる苦情なども少なからず寄せられているようだ。日々の利用において、ユーザーにストレスが掛からない程度までシステム的に安定してくると、パスワードの代わりに生体認証が企業向けPCでの主流になる可能性もある。差別化が難しいとされるPC市場であるだけに、生体認証は注目できる技術の1つだ。
ユーザー登録は1人1分ほどで済んだ
今回、VDI環境での生体認証も可能にした。手のひら静脈センサ、指紋センサ、スマートカード、Felicaといったデバイスを使ってWindowsや社内システムにログインするための認証ソフト「SMARTACCESS」シリーズに、仮想デスクトップソフトウェアである「VMware Horizon」「Citrix XenDesktop」「Citrix XenApp」における生体認証を可能にする「SMARTACCESS /Virtual V1.0L10」を追加したことも併せて発表している。
タブレットとPCの新製品
同社はこの日、Windowsタブレット「FUJITSU Tablet ARROWS Tab」を2種類投入すると発表。1つは「Q775/K」で、手のひら静脈センサを搭載でき、大画面の13.3型「IGZO」フルHDディスプレイと防水性を特徴とする。搭載OSは「Windows 8.1Pro」。プロセッサは「Intel Core i7/i5」。重量は、13.3型以上のタブレット端末では最軽量クラスという900g台としている。
2つ目は「Q584/K」。高精細を売りにするWQXGAディスプレイを搭載し、屋外での利用も想定して防水性、防塵性を高めた。薬品への耐久性もあるため、医療現場や飲食店でも利用できる。
ARROWS Tab Q775/K
PCでは企業向けに「FUJITSU Notebook LIFEBOOK」シリーズ3機種4製品を投入する。
ビジネスにおけるモバイル利用を想定したPC「U745/K」では、薄く、軽く、長時間のバッテリ駆動の実現にこだわった。有線LANポートや3つのUSB 3.0ポート、メモリ増設やバッテリ交換ができるようにした上で、19mmの薄さと1.55kgの軽さを実現したとしてアピールしている。
また、「S935/K」では、増設バッテリ搭載で最大20.2時間の駆動が可能。持ち歩く場合は1.2kgにまで重量を落とせる軽量化も実現している。セキュリティ面では、手のひら静脈センサもしくは指紋センサを実装し、遠隔地からのデータ消去機能も実装した。
LIFEBOOK S935/K