グーグルは5月14日、パブリッククラウド「Google Cloud Platform(GCP)」の大阪リージョンの正式運用を開始したと発表した。2016年に開設した東京リージョンに続く、国内2拠点目となる。東京リージョンと同じく、“フルサービス”を提供するとしている。
大阪リージョンは、アジア太平洋地域では7カ所目、グローバルでは20拠点目になる。西日本地域で拡大する国内ユーザーのニーズに応えるほか、事業継続計画(BCP)や災害復旧(DR)のバックアップサイトの構築にも対応する。
大阪のユーザーが同リージョンを使えば、東京リージョンを利用するのと比べて「ミリ秒単位での遅延の短縮が可能になる」(Google Cloud 日本代表の阿部伸一氏)としている。
大阪リージョンは東京リージョン同様、3つのゾーンで構成される。「Compute Engine」「App Engine」「Google Kubernetes Engine(GKE)」「Cloud Bigtable」「Cloud Spanner」「BigQuery」などの一連のサービスを提供する。
大阪リージョンで利用可能なGCPの主要サービス
また、ハイブリッドクラウド基盤「Anthos」と組み合わせることで、パブリッククラウドのGKEやオンプレミスの「GKE On-Prem」をはじめ、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなど他社クラウドで動作するワークロードも管理できるようになる。
大阪リージョンの開設にともない、関西エリアでのトレーニングプログラムも拡充させる。Google Cloudの技術を活用するためのトレーニングや認定資格のためのプログラムを用意するほか、関西地域の6カ所でGCP User Groupの活動を展開中だという。
記者会見に登壇したGoogle Cloud 最高経営責任者(CEO)のThomas Kurian氏は、「デジタルテクノロジ―があらゆる産業を変えつつある。特に製造、小売、金融、通信などの産業はデジタルテクノロジ―を使って事業の在り方を変えようとしている。Google Cloudは、企業のデジタル変革を実現するための技術基盤を提供する」と述べた。
Google Cloud 最高経営責任者(CEO)のThomas Kurian氏
その上で、Google Cloudの特徴として、「グローバルインフラストラクチャ」「デジタルトランスフォーメーションプラットフォーム」「業種特化型ソリューション」を挙げた。また、同社のネットワークは世界100カ所以上の接続拠点(POP:Point Of Presence)に張り巡らされ、大規模なプライベートファイバーネットワークで構築されているとアピールした。
さらに、同社は、自然言語処理や画像認識、音声認識などの非常に高度な人工知能(AI)/機械学習(ML)技術を有しているとし、コンタクトセンターやサプライチェーン管理、プライシングなどの領域で活用が進んでいるとKurian氏は説明した。
大阪リージョンの運用開始に合わせ、アサヒグループホールディングスと京セラコミュニケーションシステムがGoogle Cloudを活用していることが明らかにされた。両社とも以前からGCPのサービスを活用してきたが、大阪リージョンも組み合わせることで、さらなるシステムの可用性向上やビジネスの継続性実現に取り組んでいくとしている。
Google Cloudでは、2020年上半期に韓国・ソウル、米国・ソルトレイクシティ、インドネシア・ジャカルタなどの地域に新しいリージョンを順次開設していく予定となっている。