最高情報責任者(CIO)は懸命に働いた結果、社内で重要な役割を担えるようになったが、幾つかの戦略的分野では、依然としてITリーダーシップを発揮するのに苦労している。4人のCIOやITリーダーに、テクノロジーに関して直面している一番の悩みと、それらの悩みへの対処法について語ってもらった。
1. ITスキルギャップを解消するための人材確保
英国リーズ市のシティカウンシルで、CIOを務めるDylan Roberts氏によると、組織で必要なIT人材の確保が同氏にとって最大の頭痛の種だ。「適切なスキルを持つ、適切な人材の確保には、本当に苦労する」とRoberts氏は述べる。「人材の採用と維持が非常に大きな問題だ。市況のせいで、多数のプロジェクトやプログラムのために確保できるスタッフの質と、スタッフ採用のための予算が、以前ほど恵まれていない」(同氏)
Roberts氏はリーズ市で、市民中心のサービスを開発すべく、デジタル変革に取り組んでいるが、有能な人材を容易に確保できなくなったからと言って、リーズ市で変革をあきらめたわけではない。それならば取り組みに必要な人材を、Roberts氏はいかにして確保し続けているのだろうか?この悩みに対処する1つの手段は、効率的な連携を取り入れ、組織横断的に協力し、従来のサプライヤーへの依存を断ち切ることだと述べている。
「公共部門で最大の障壁は、多くの現行ベンダーが今もベンダーロックインを維持することに重点を置いていることだ。閉ざされた市場でレガシーソリューションを提供しているため、金のなる木を持っているようなものだ。大した競争もないため、イノベーションもほとんど期待できない」とRoberts氏は述べる。
「地方自治体のシステムを、ぜひとも刷新したい。5つのカウンシルが一緒になり、適切な開発者を採用して、最新のアプリケーション開発手法を使い、地方自治体のIT環境を作り直すことができれば、公共部門で大量の支出を節減できるだろう」
2. 過剰宣伝に惑わされず、価値に目を向けさせること
Brad Dowden氏の一番の悩みは、技術そのものではなく、人の変わる能力、そして変わろうという意欲だという。デジタル変革を推進するCIOにとって、この企業文化は今なお重要な課題であり、特に企業の主要なステークホルダーが納得するビジョンを描こうとする場合、社内の最も上層部まで及ぶ課題だと述べる。