業界に関わらず、ほとんどのプロフェッショナルは、疲労や集中力の欠如、細かい作業を片付けられない、慢性のストレスなどの経験をしたことがあるはずだ。
何よりも「頑張り」(hustle)が重視される今日の職場文化では、燃え尽き症候群は珍しいものではない。世界保健機構(WHO)がこの症状を正式に医学上の診断名に採用したほどだ。この記事では、燃え尽き症候群の何が問題であり、この症状に苦しんでいる人がどう対処すべきかを紹介する。
燃え尽き症候群とは
職場で完全に打ちのめされたように(例えば燃え尽きてしまったように)感じたことはないだろうか?この状態は、WHOが新たに定めた国際疾病分類(ICD-11)で「雇用及び失業に関連する問題」の下の「適切に管理されていない慢性的な職場ストレスに起因すると概念化される症候群」に分類されるようになった。
今回この症状に正式に分類が与えられたことは、職場関係のストレスやその他の余病を治療する上で大きな一歩だ。
ある論文では、燃え尽き症候群は「現代社会においてもっとも広く議論されたメンタルヘルスの問題の1つ」だとした上で、一部の職種(例えば医師)のグループでは有病率が最大で69%に上ると指摘されているほどだが、この症状には2019年5月まで正式な診断名が存在しなかった。
しかしこれで、燃え尽き症候群を経験している人々は、症状を管理するための医学的な支援やカウンセリングを受けることができるようになる。
医師はどのように燃え尽き症候群を診断するのか
WHOによれば、燃え尽き症候群の公式な診断基準には、以下のものが含まれる。
- エネルギーが枯渇するか、消耗したという感覚、
- 仕事に対する心理的な距離の増加、仕事に対する否定的あるいは冷笑的な感情、
- 職務上の能率の低下。
WHOは、医師は燃え尽き症候群かどうかを診断する前に、次の診断に当てはまるものを除外しなければならないとしている。
それに加え、医師、臨床心理医、その他の診断を行うプロフェッショナルは、燃え尽き症候群の診断対象を労働環境に起因するものに限定する必要があり、人間関係や家族生活などのほかの状況に当てはめてはならないとされている。
仕事に対して慢性的な疲労感や欲求不満を感じていたり、小さなミスを繰り返していたり、非生産的なサイクルに陥っていると感じていたら、医師に相談してみるとよいかもしれない。たとえ燃え尽き症候群ではなかったとしても、何らかの問題がないかチェックしてみる価値はある。