Amazonは、同社が初めて開催したカンファレンス「re:MARS」に人工知能や機械学習の分野に貢献しているビジネスリーダーや研究者などの多様な人材を招待し、これらの参加者を「夢を見る人々(dreamers)やものを作る人々(builders)」と呼んだ。同社は、ラスベガスで開催された同イベントで米国時間6月5日に行われた基調講演で、同社がAI分野の先駆者であることを誇示し、潜在顧客やパートナーに対して全社的にAIの利用を推進していることを示した。
同社のeコマース業務ではあらゆる場面でAIが使われている。講演では、eコマースに関する予測にどうAIが使用されているかが説明されたほか、Amazonアプリのユーザーが服の写真を撮影すると、AIによって似た商品を探すことができる新機能「StyleSnap」がお披露目された。
同社はまた、「Pegasus」「Xanthus」と呼ばれる最新の商品発送センター用ロボットや、数カ月以内に実際の配送で利用し始める予定の新型ドローンも発表した。
Amazonは実店舗での買い物についても話題にし、「Amazon Go」の店舗で利用している技術の詳細について紹介した。また、自宅にいる顧客との繋がりを維持するための、「Alexa」の会話AIに関する取り組みについても説明された。
5日の基調講演で、Amazonのワールドワイドコンシューマー部門最高経営責任者(CEO)Jeff Wilke氏は「Amazonは最初からテクノロジー企業だった」と語ったが、その一方で「AIの潜在能力を真に理解するための取り組みは、まだ緒に就いたばかりだ」とも付け加えた。
同氏は、1999年にグローバルオペレーション部門の責任者としてAmazonに加わったとき、同社は荷物の商品発送業務を「Skip」に頼っていたと語った。同氏によれば、Skipは単なるアルゴリズムではなく「すごいやつだ」という。
しかし今では、自動化がAmazonの業務の重要な位置を占めている。同社は20万台以上のロボットを導入する過程にある。同氏は、Amazonはロボットの導入を進めると同時に、30万人以上の労働者を雇用し、倉庫労働者に高い賃金を支払いながら、その業務の安全性と生産性を改善してきたと述べた。
またWilke氏は、Amazon.comが提供している商品発見の仕組みの発展過程について順を追って説明した。この仕組みは、最初は人間による選別とベストセラーリストに基づいていた。
しかし同氏は、「この手法ではどうしても偏りが生じる」と述べ、「キノコ狩りのようなニッチな関心を捉えることはできていなかった」と続けた。