iRobotが発売した最新型の掃除機ロボットと床拭きロボットがタッグを組んで部屋を掃除しているのを見ると、「宇宙家族ジェットソン」(訳注:1960年代に放映された米国のテレビアニメで、未来の家族の生活を描いたホームコメディ)に出てくるような、機械が協調しながら人間を支える未来の生活を想像してしまう。
この2台のロボットが協力しながら掃除をしている姿は、スマートホームロボットが(「Imprint Link」と呼ばれる技術で)お互いに情報交換しつつ、人間の関与なしに協調しながら、効果的に働く世界が実現しつつあることを示している。そしてこの2つの新型ロボットやこれに続く製品は、iRobot社のソフトウェアやデータサイエンス、設計に対するアプローチの進化を象徴する存在でもある。
iRobotのRoomba s9+(奥にあるのはクリーンベース)とBraava jet M6。
提供:iRobot
「Roomba s9+」(ロボット掃除機)と「Braava jet M6」(床拭き機)は、ブレークスルーと呼ぶにふさわしい製品だ。この2台のロボットは、Qualcommのプロセッサーやスマートフォンクラスの処理能力、これまでよりも大容量のメモリ、Imprint Linkを搭載し、協力しながら仕事をこなす。Roombaが掃除機掛けを終えて戻ると、それに合わせてBraavaが仕事を始める。2台のロボットは今後住宅内のマップを共有することも可能になり、iRobotのスマートフォンアプリで、これらのロボットに命令や優先順位を指定することもできる。
お約束としては、ここで製品の仕様や機能を紹介すべきなのだろう。新型Roombaにはこれまでよりも大きなゴミをかき込めるようになった新しいゴムブラシや高性能な3Dセンサーが搭載され、価格はs9モデルが999ドル(約10万8000円)、Roombaから自動的にゴミやほこりを回収し、ダスト容器を空にする機能を持つクリーンベース「Clean Base Automatic Dirt Disposal」が付属するs9+モデルは1299ドル(約14万2000円)となっている。またBraava jet M6は499ドル(約5万5000円)で、別売りのクリーンベースは349ドル(約3万8000円)だ。
しかしそんなことよりもはるかに重要なのは、創業から30年近く経ち、2500万台以上のロボット販売してきたiRobotが、新たな目標に向かい、データサイエンスを利用して、スマートホームのあり方を決める争いで重要なプレイヤーになろうとしていることだろう。消費者に「Roombaに触る必要はありません」「数カ月間は掃除機掛けについて心配しなくて構いません」と言える裏側には、バックエンドのITインフラやアーキテクチャー、データサイエンス、クラウドコンピューティングに関する多くの取り組みの積み上げが存在する。iRobotは、このデータドリブンのDevOps型アプローチによって、「Aging in Place」(訳注:高齢者が住み慣れた地域で自立的に暮らすこと)などの新たなトレンドに乗った、スマートホーム業界の重要な企業になるかもしれない。
iRobotのCEO Colin Angle氏と同社の家庭用ロボット
提供:iRobot/Webb Chappell