海外コメンタリー

脳とコンピューターをつなぐBMI、10年後にはどれほど普及しているか

Steve Ranger (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-06-29 08:30

 毎年数千万台のブレインマシンインターフェース(BMI)デバイスが販売されていることを考えれば、脳をコンピューターにつないで通信を行うことは、10年以内にある程度一般的なことになるとみられる。

 BMIは大きな可能性を秘めた魅力的な研究分野で、人間の脳を直接コンピューターに接続し、情報を共有したり、デバイスを制御したりすることを可能にするものだ。

 BMIに関する研究の一部は、SFの世界にあと一歩のところまで来ている。この技術に取り組んでいる企業の中でもっとも有名なのは、おそらくElon Musk氏が設立したNeuralinkだろう。同社は人間とコンピューターを超広帯域で接続する「ニューラルレース」と呼ばれる技術の開発を目指している。

 Musk氏が脳とコンピューターを接続するというアイデアに関心を持っている理由の一部は、そのような技術が、スーパーインテリジェント人工知能(登場するのはこれからだが)に人間が置いていかれるのを防げる可能性があることだ。これは、人間の精神を直接AIと広帯域リンクで接続することで、少なくとも会話にはついていけるチャンスが生まれるという考え方に基づいている。

 しかしより基本的な形態であれば、BMI技術はずっと以前から医療の世界で使われている。例えば、重度な聴覚障害や難聴を持つ人を補助する人工内耳がそうだ。また医療の分野では、人工的なデバイスを用いてある種の視覚を回復させる技術である、視覚補綴技術も広がりつつある。

 ただし、より野心的なタイプのBMI(例えばコンピューターやデジタルアバターとの通信や制御)は、まだまったく初歩の段階にある。

 それでも、調査会社のJuniper Researchは、BMIデバイスの出荷台数は、2019年の約35万台から、2030年には2560万台にまで増えると予想している。また、BMIはこの期間に純粋に実験的な医療分野での利用事例以外にも拡大し、一般消費者向けの用途も開発されるという。その数字は大きいものではなく、現在のスマートウィッチよりもさらにニッチだが、もし同社の主張が正しければ、多くの人が考えているよりは普及することになる。

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