脳から思考を読む技術で「閉じ込め症候群」患者とのコミュニケーションを実現

Jo Best (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2017年05月05日 08時00分

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 「完全閉じ込め症候群」とは、人間の体を牢獄のように変えてしまう症状だ。この状態にある人々は、まったく筋肉を動かすことができず、瞬きや指先を動かすこともできないが、精神は完全な活動状態にある。

 記憶や感情、認知能力は変わっていないにもかかわらず、話すことも、まぶたを動かすことも、手話を使うこともできないため、外界とのコミュニケーションは不可能になる。この人たちは、麻痺してまったく反応を示さない体に閉じ込められ、頭の中だけで暮らさなくてはならない。

 重い脳出血で、片方のまぶたしか動かせない症状に陥った、ジャーナリストの手記を原作とした映画「潜水服は蝶の夢を見る」では、これと似た状態である「閉じ込め症候群」が有名になった。このジャーナリストは片目の動きだけで言葉をつづり、原作となった書籍を書き上げたが、その後視線追跡技術が進歩し、今では閉じ込め症候群の患者が、画面上の文字を1文字ずつ目で追うことで、単語や文章をつづれるまでになっている。

 しかし最近まで、完全閉じ込め症候群の患者には、コミュニケーションを取る方法がなかった。目も動かせないため、視線追跡技術を使うこともできない。しかし、スイスのヴィース・バイオ神経工学センターが進めている研究により、完全閉じ込め症候群の患者にも自分の意思を他人に伝えられる可能性が開けた。

 同センターは、完全閉じ込め症候群の患者が頭の中で考えるだけで、質問への答えがわかるブレインコンピュータインターフェースを開発した。

 このシステムの仕組みは次のようなものだ。完全閉じ込め症候群の患者には、近赤外分光法オプトード(レーザーで脳の代謝活動を計測するセンサ)で覆われたキャップが装着される。患者が「イエス」か「ノー」かで回答可能な質問をされると、その回答に関連の深い脳の部位の働きが強まり、より多くの血中酸素が必要となるため、その領域の血流と酸素供給量が増える。


スイスのヴィース・バイオ神経工学センターが開発したブレーンコンピュータインターフェースによって、完全閉じ込め状態にある患者が「イエス」か「ノー」かの質問に答えることが可能になった。
提供:Wyss Center

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