「iRobotの次世代スマートホームロボット--クラウドやデータサイエンス活用でいかに進化を遂げるか(前編)」に続き、後編をお届けする。
データサイエンスチームの構築
iRobotの最高経営責任者(CEO)Colin Angle氏は、iRobotの競争上の強みは、究極的には同社のデータサイエンスチームにあるのかもしれないと述べている。現場で使用されているロボットは1000万台にものぼり、データサイエンスは事業の最適化と改善につながるという。「ロボットがどんな部屋でどのように立ち往生するかといったことが分かるため、ネットワーク接続型のロボットはわが社に大きな影響を及ぼす。データを調べればロボットに問題があるかどうかが分かるため、顧客サービスでもすぐに状況を診断することができる」
iRobotは当初、多くの企業と同じように、IT部門にデータサイエンスチームを作った。これは、IT部門にはデータサイエンスに対する情熱があるからだ。iRobotがデータを重視し始めると、最高情報責任者(CIO)Tirozzi氏の役割も変わった。
「わが社にはデータウェアハウスはあったが、プラットフォームはなかった。何人かのデータサイエンティストが見つかり、すぐにいくつかのことを証明してくれた。この時点では、データサイエンティストは作業時間の80%をデータのクリーニングに費やしており、データサイエンスに費やしていたのは20%だった。データサイエンスチームが仮説を証明し、経営チームと協力して仕事をすることができることが分かると、さらにわれわれはパターンや予測の分析へと進んだ」とMike Tirozzi氏は言う。「データサイエンスは、わが社のDNAの核の1つだ」
Tirozzi氏の役割の変化は、iRobotとAngle氏のデータに対するアプローチの変化を反映している。「時間が経つにつれて、IT部門のデータサイエンスは改善されてきたが、この場所では製品から遠すぎることが分かってきた。エンジニアとのつながりが十分ではなかったためだ。このため、データサイエンスチームをモジュールとして製品開発の現場に移した」
Angle氏は、データサイエンスは業務や顧客サービス、製品と横断的に関わる仕事だと付け加えた。iRobotのデータサイエンスチームは、技術部門や製品設計部門と連携することを前提に作られている。「データはわが社のすべての製品に影響を与える」とAngle氏は言う。事業とデータサイエンスに対するiRobotのアプローチはHarvard Business Reviewに掲載された記事で詳しく説明されており、この記事には、同社のデータサイエンスディレクターであるAngela Bassa氏の運営のヒントも書かれている。