Gartnerは、2019年の世界的なIT支出は1.1%増加すると予想しているが、これらの小幅な予算の増額でも、大抵の場合ひもが付いている。今や事業部門の役員は、テクノロジーがどのように調達され、利用されるかに大きな関心を持っており、ITリーダーの判断は、これまで以上に細かく監視されるようになっている。
しかし、もし最高経営責任者(CEO)が自由に使えるIT予算を割り当ててくれたら、あなたはどうするだろう?組織の戦略的な優位性を生み出すために、技術をどう使うだろうか?この記事では、4人の最高情報責任者(CIO)に、自由に使える予算があったらどう使うかを聞いた。
1.デジタルインクルージョンによる住民のエンパワーメントを支援する
英国北部にあるリーズ市議会の最高デジタル情報責任者(CDIO)Dylan Roberts氏は、同氏であればその資金をデジタルリテラシーの向上に使うと述べている。リーズ市には、市民全員がネットワークを利用できるようにするという目標がある。Roberts氏は、テクノロジーを利用できない市民は今後社会から排除されてしまう可能性があり、現時点でもすでに大きな問題になっていると話す。
「このため、私なら全員がチャンスを得られるようにする基礎を作るために予算を使いたい」と同氏は言う。「市民が、自分がやりたいことに合わせてネットワークに接続できるようになれば、その潜在的な価値は大きい。デジタル化は人の生活を変えるが、その効果は特に排除されている人々にこそ大きく現れる。社会的排除に焦点を当てれば、結局すべての人に可能性を開くことになる」
Roberts氏は、この取り組みにはかなりの調整が必要だと話す。リーズ市の現在の目標は、デジタル的に排除されている年間8000人をデジタル的に包摂することだ。同氏のチームにはコーディネーターは4人しかいないが、連携している外部組織は70以上あるという。これらの専門性を持ったパートナー組織は、高齢者などの市民がネットワークに接続し、やりたいことをできるようにするための手助けをしている。
「われわれは、この地域に根付いたエコシステムを通じて、市民全員を包摂できると考えている。われわれ全員が主役だ」とRoberts氏は言う。「しかし、もし市民のトレーニングに補助金を出せれば、大きな違いを生み出せるかもしれない。3000ポンド(約40万円)以上払って『HoloLens』のようなものを買うべきだという人もいるかもしれないが、そのお金をデジタルインクルージョンを推進する人々のエンパワーメントに使ったらどうなるかを考えてみてほしい」