NECは11月5日、教育業界向けクラウドサービス「Open Platform for Education」とChromebook端末の「NEC Chromebook Y1」を発表した。Y1は同日から、Open Platform for Educationは2020年4月からそれぞれ提供する。
Open Platform for Educationは、同社が日教販と協業して提供するクラウドサービス。日教販は教育系出版社など約1000社と取り引きしており、今回のクラウドサービスを通じて、今後各社が準備する“デジタル教科書”などの教育コンテンツを自治体、学校、塾の教員などに提供する。また、コンテンツ事業者や教育系のスタートアップベンチャーなどとも提携し、語学など教育関連サービスを今回のクラウドサービスを通じて提供できるようにしていくという。
「Open Platform for Edication」で提供するデジタル教育コンテンツのイメージ
Y1は、授業内容に応じてタブレット/ノートPCの形状を使い分けられる構造を採用する。Intel Celeron N4000プロセッサーや4GBメモリー(LPDDR4)、32GB eMMCを搭載し、重量は約1.35kg。防滴設計のキーボードとタッチパッドを採用するほか、高さ75センチからの落下試験をクリアしている。同社では最長5年間の保証やバッテリー交換、設定代行などのサービスを提供する。
Chromebook端末の「NEC Chromebook Y1」はディスプレイ部が360度動き、タブレットとしても利用できる「2 in 1」構造となっている
一連の施策を発表した第一官公ソリューション事業部 初中等・教育産業マーケット担当部長の田畑太嗣氏は、2020年4月から文部科学省の改訂学習指導要領が施行されることを受け、「質の高い教育を実現するために先端技術の活用が求められている」と説明。これにより、教育市場ではデジタル版教科書などのコンテンツの流通や教育分野に参入するテクノロジーベンチャー企業の進出拡大、また、ITを利用した教員の働き方改革の必要性が高まるとした。田畑氏によれば、同社の文教向けPC端末の市場シェアは約4割で推移しているといい、「端末を含めた教育ITのための環境をワンストップで提供できる点がNECの強み」と語った。
音声認識や感情分析を利用してグループ学習中の状況を一目で把握できるという
Open Platform for Educationの特色については、同社の認証技術を活用してシングルサインオンで安全性を確保しながら各種サービスを利用しやすくしている点や、協働学習支援サービスにあるとした。協働学習支援サービスでは、音声認識技術や人工知能(AI)による感情分析技術を用い、例えば、グループ学習においてグループの会話の内容をタイムラインで表示したり、生徒の感情分析から会話の盛り上がりの具合をグラフ表示で視覚化したりでき、発話量や頻出語句などで教育効果の浸透度を分析できるとしている。