米国防総省が100億ドル(約1兆1000億円)規模のクラウドプロジェクト「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)でMicrosoftと契約したことに、Amazon Web Services(AWS)が異議を表明している。Federal Timesの報道によると、AWSは米国時間11月14日、JEDIの契約に関して抗議の書類を提出したことを全社会議で明らかにした。
Federal Timesは、AWSが8日に必要な書類を提出したとの情報提供者の話を伝え、Amazonの広報担当者も書類が8日に米連邦請求裁判所に提出されたことを認めたとした。Amazonは、JEDI入札における真の経緯を明らかにするよう政府に求める計画だという。
筆者はJEDIの契約についてAmazonに問い合わせ、Amazonの担当者から以下の声明を受け取った。
「AWSは、米軍が必要とする重要なテクノロジーを提供するための独自の経験と資格を有しており、国防総省の現代化の取り組みをサポートすることに尽力している。また、政府と選ばれたリーダーが客観的に、政治的な影響を受けない手段で調達を管理することがわれわれの国家にとって極めて重要だと考えている。JEDIの評価プロセスには、多くの面で不完全さや誤り、明らかに不公平な判断が見受けられるため、これらの問題はよく検討され、正されることが重要だ」
JEDIの入札プロセスが進む過程で、多くの人々はAmazonが契約を勝ち取るだろうと考えていた。そしてプロセスの終盤には、この単一ベンダー独占契約をめぐって争う企業はAmazonとMicrosoftの2社に絞られていた。Googleは2018年10月に入札プロセスへの参加を取りやめ、OracleとIBMは2019年4月に要件を満たしていないとして選に漏れていた。しかし、国防総省は8月にJEDIプロジェクトの契約プロセスを一時中断すると発表した。中断が発表される前には、このプロセスで利害関係が衝突する可能性について、Donald Trump米大統領が不満を表明していた。Amazonの最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos氏はThe Washington Postを保有していることなどから、Trump米大統領は政治的な頭痛の種としてBezos氏に矛先を向けてきた。
JEDIプロジェクトの目的は、レガシーシステムをクラウドサービスによってアップグレードすることだ。当初の提案書では「『JEDI Cloud』は、エンタープライズレベルの商用IaaSおよびPaaSを、国防総省や同省のすべての業務やミッションの運用に関わるミッションパートナーに提供する」と説明されている。この契約は、10年間で100億ドルにおよぶ可能性があるとされていた。
Microsoftは10月25日にJEDIプロジェクトの契約を落札したことが明らかになった。業界の識者らは、Amazonが異議を表明する可能性があると予想していた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。