Marc Andreessen氏の言葉通り、ソフトウェアが世界を飲み込みつつあるとすれば、世界もまたソフトウェアを飲み込もうとしていると言えるかもしれない。Forrester Researchは、世界の企業のソフトウェア支出が、2020~2030年にかけて9200億ドルから1兆3000億ドル強まで増加すると予想している。ソフトウェアは今後も社会に広がり続け、ますます多くのユーザー、トランザクション、製品、ビジネス活動を仲介し、記録し、実現するだろう。その背景には以下のような要因がある。
- オンライン人口の増加。世界のオンライン人口は2030年までに53%増加し、66億人に達する。
- クラウドベースのアーキテクチャーに基づくソフトウェアの導入、統合、カスタマイズが容易になる。
- あらゆる事業領域で、これまで物理的だった作業や、人間のものだった作業の自動化が進む。カスタマーサービスや製品の配送、現場の監視などのさまざまな業務に、ロボットやアルゴリズムが利用されるようになる。
- われわれの周囲を取り巻く物理的な世界に組み込まれたソフトウェアの量が増加する。建物や高速道路からドアベルや時計まで、あらゆるものにソフトウェアのスマートな処理が組み込まれる。
世界のビジネスソフトウェア市場は1兆3600億ドルという巨大なものだが、実はこの数字の裏では、(一見パラドックスにも思えるが)ソフトウェア支出の伸びが減速すると予想されている。Forrester Researchの予想では、1995~2020年までは年平均7%増加していたのに対し、2020年代の成長率は年平均4%に落ち込む見込みだとわれわれは予想している。その理由を一言で言えば、ソフトウェアが今よりはるかに安くなるからだ。以下のようなさまざまな要因により、ソフトウェアの機能単位あたりのコストは減少していく。
- ソフトウェア開発のあらゆる場面に自動化が広がり、ソフトウェアの生産や消費のコストが下がる。
- パッケージ化されたアプリの市場が生まれたことにより、価格の透明性が高まり、競争が激化するだろう。
- カスタムソフトウェアの開発はより効率的で低コストになる。
- 企業によるオープンソースソフトウェアの利用は今後も増え続ける。
- 最後に、2020年代の初めにはマクロ経済が低迷する可能性が高く、そのことがソフトウェア支出の低成長の要因となる。
ソフトウェア支出の伸びが鈍化すると、ベンダーや顧客は新たな課題やチャンスに直面する。
本稿は、Forrester ResearchのシニアバイスプレジデントでリサーチディレクターのChris Minesが執筆した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。