人は一人で仕事をすることはない。これはつまり、自分の成功が、自分のアプローチや才能だけでなく、周囲の人間にも依存することを意味する。
もちろんこれは最高情報責任者(CIO)にも言えることだ。では、IT部門の責任者は、2020年にどのようなアプローチを取るべきなのだろうか。この記事では、CIOが周囲の人々との関係性を改善し、大きな成果をあげるためにできる3つのことを紹介する。
1.インクルージョンを重視する
多くのCIOや企業幹部は、ダイバーシティ(多様性)を重視している。ビジネスリーダーは、多様性のある労働力を生み出すことの重要性について語るのが好きだ。しかし多くの点で、職場における多様化の進展はまだ限定的なものでしかない。
実際、ITプロフェッショナルに占める女性の割合は20%に満たないという。調査によると、米国の大企業で女性のCIOは約18%しかおらず、広告会社やコンサルティング企業などを含むプロフェッショナルサービス業界などをはじめとする一部の業界では、IT関連の女性役員は7%にとどまる。
企業のトップを務める黒人も少なく、そうした役職は今も経験豊富な白人男性が占めていることが多いとみられている。自分が所属する組織について振り返ってみてほしい。意思決定を行う立場にあるのは誰だろうか。経営陣は、私たちの社会の全般的な人口構成を反映したものになっているだろうか。
多様性は単なる手続き的な取り組みであってはならない。多様性の高い経営陣を作ることは、組織内のプロフェッショナルにポジティブなロールモデルを用意することでもある。これは組織にもメリットがある。経営陣が多様な背景やものの見方を持っていれば、考え方にも多様性が生まれる。
Harvard Business Review(HBR)の記事によれば、多様性が高い取締役会の恩恵を受けるためには、経営陣が平等主義的な文化を持っている必要があるという。さまざまな声を取り上げ、対立する意見を1つに取りまとめ、多様性に関する議論を歓迎する文化だ。口だけに終わらせないためには、経営陣の構成に対してインクルージョンを重視したアプローチを取るための行動を取る必要がある。
Royal Marsden NHS Foundation TrustのCIO、Lisa Emery氏は、ITリーダーにはもっとやるべきことがあると考えている。これまでチャンスを得られなかった人々には、学校と職場の両方で、できる限り早い機会にチャンスが与えられるべきだと同氏は言う。Emery氏は現在、6人の女性に対して次世代のITリーダーとしてのメンタリングを行っており、多様化を後押しすることは自らの義務だと感じている。