日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)は1月27日、新年賀詞交歓会を東京・帝国ホテルで開催した。会場は前年に比べて2割以上拡大、700人以上の業界関係者らが集まり、例年以上の盛り上がりを見せた。
あいさつに立った日本コンピュータシステム販売店協会の林宗治会長
あいさつに立った林宗治会長(=ソフトクリエイトホールディングス社長)は、「2019年6月の会長就任時に、『販売を進化させる』というメッセージを会員に送り、2つの方針を打ち出した。一つは『リアクティブからプロアクティブへ』。受身から自ら行動を起こしたり発信したりする姿勢への変化を指す。まずは理事から示していく。もう一つは、『ゲート300』。会員数を240社から2020年6月までに300社にする目標を掲げた。これまでの会員の増加は、(前任の)大塚裕司名誉会長に頼り切りだった。プロアクティブ活動の第1弾として、理事が会員を増やすことを目標にした。やってみて分かったのは、販売店協会のメンバーは数字目標が決まると強く、過去最高の約30社の新規会員を紹介できた。目標まで約30社。ぜひ、紹介を賜わりたい」と呼びかけた。
続けて林氏は、新たな取り組みとして3例を紹介した。1つ目はクラウド委員会の設置で、「25社の参加希望があったが、1つの委員会で30社以上になると活動にならない。そこで、分科会を増やして、要望に応えられるようにする」という。2つ目は段ボール問題。「業界内には潰れ段ボール問題がある。PCを届ける際に、ダンボールが壊れたり汚れたりする。これに対して、業界では返品を受け付け、新品のダンボールに交換してきた。しかし、こんなことをやっているのは日本だけだ。お客さまが欲しいのは中身のPCであり、業界全体で大きな無駄を省くことを模索していく」とした。
そして、3つ目に日本マイクロソフトとの連携を挙げた。「JCSSA会員の中には、マイクロソフトの共同販売プログラムの加盟企業が30社ある。そこでマイクロソフトの吉田仁志社長に相談し、これに関する共同勉強会を開催することにした。共同販売プログラムに参加していない会員会社も一緒になって勉強していきたい。2020年は、もっと業界を盛り上げていきたい」と林氏は述べた。
経済産業省 商務情報政策局 情報産業課長の菊川人吾氏
来賓としてあいさつした経済産業省 商務情報政策局 情報産業課長の菊川人吾氏は、「2019年はDX(デジタルトランスフォーメーション)元年であり、DX推進のための法律を決め、補正予算では3000億円以上のIT導入補助金を審議しており、利用下限も30万円にまで引き下げようとしている。1960~70年代に国家規模のプロジェクトで今の安定した社会、経済のシステムができ上がった。その点では先代の大きな力に経緯を払いたい」と述べ、「今年は5G(第5世代移動体通信)元年。元号も変わり、東京五輪も開催される。それに合わせて今後50年続く社会や経済のシステムを作っていく必要がある。この業界には、重大な責任と期待がかかっている。政府もみなさんと手を携えていきたい」とした。
乾杯の音頭を取った日本マイクロソフトの吉田仁志社長。吉田氏は、「日本市場に参入して40年を経過したが、当時とは製品が大きく変わっている。PCソフトウェアの占有率はほぼ100%で、全てのデスクにPCを置くという創業時のミッションはずいぶん前に達成された。5年ほど前からマイクロソフトはDXを行い、ビジネスモデルを変え、自らの存在意義を問い直した」と語った。
乾杯の音頭を取った日本マイクロソフトの吉田仁志社長
さらに、「かつては1000人の社員がいる会社なら1000以上のPC向けソフトウェアライセンスを買ってもらうことがビジネスだった。今はライセンスから消費型のビジネスに変わり、使ってもらうことが重要になり、役に立つということが重視される。それは営業プロセスにも終わりがないということ。かつては自社製品の良さを知っていれば売れたが、今はお客さまの業務や課題を理解しなくては使ってもらえない」とコメントした。
その上で、「ビジネスモデルをマイクロソフト視点からお客さま視点に変えなくてはならない。これがマイクロソフトの取り組んできたDXの姿。まだ道半ばで、14万人の社員全員がお客さま目線に変わるにはまだ時間がかかるが、日本お客さまに寄り添うことを目指す。成功事例よりも失敗事例が多いかもしれないが、そうした恥ずかしいところも共有して、みなさんのビジネスに生かしてもらいたいと考えている」とした。
また吉田氏は、「今の日本が強くなっているのかというと、残念ながらそうとはいえない。日本経済を強くし、日本の企業がグローバルで戦うための支援をしていく。ただ、それは、日本マイクロソフト1社では成し得ない。パートナーのみなさんと一緒に、お客さまに寄り添いながら貢献していきたい。日本を元気にしていこう」と呼びかけた。