SUSEはIaaSのクラウドである「OpenStack」に見切りをつけたが、Red Hatはその限りではない。同社は米国時間2月20日、OpenStackディストリビューションの最新バージョン「Red Hat OpenStack Platform(RHOP)16」をリリースした。
この新しいRHOPは、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)8」上に構築されている。新版ではロングライフリリースの仕組みを改良し、包括的な機能統合を行っている。また今後はコミュニティーの革新成果を企業向け機能として、継続的に提供していくという。新版は、過去3つのOpenStackリリースの最も優れた機能を組み合わせ、Red Hat独自の機能強化を行っている。
モジュール式の新しいRed Hat OpenStackは、既存の従来アプリケーションにおけるIT運用を最適化するのが狙い。しかし10年前のように、単にIaaSとしてクラウドストレージを提供しているのではない。ネットワーク機能仮想化(NFV)、エッジコンピューティング、人工知能(AI)、機械学習(ML)など、クラウドネイティブなアプリケーションの基盤として活用できる。
これまでOpenStackは、あまりにも頻繁にバージョンが変わるため、OpenStack上で標準化するのが困難だとされてきた。RHOP 16は標準化しやすいよう、最長5年間サポートを受けられる。
とはいえ、バージョンアップするまでOpenStackの最新機能を利用できないわけではない。Red Hatは新機能をRHOPに統合し、プラットフォームを大規模に更新せずとも、導入できるようにする。
Red Hatのクラウドプラットフォーム担当バイスプレジデントのJoe Fernandes氏は、声明で次のように説明している。
「Red Hat OpenStack Platform 16は、エンタープライズのIT部門の新リリースを導入する能力やニーズに合わせて、革新の歩調を刷新した。Red Hat Enterprise Linuxと足並みを揃え、企業がプラットフォームのバージョンを更新することなく、エッジコンピューティングやNFVといった一連の新機能の恩恵を受けられるようにした。このため組織は、それぞれの業務に最も理にかなったペースと規模で、革新が行える」
新リリースは多数の新機能を用意しており、以下のようなものがある。
- Cells v2を使ったマルチセル導入:「OpenStack Compute」はデフォルトでセルを活用する。大規模デプロイメントの場合、複数のセルを使い、各セルにComputeノードとデータベースを設定できる。
- 単一ホストでピニングインスタンスとフローティングインスタンスのコロケーションが可能:ピニングCPUを持つインスタンスと、フローティングCPUを使用するインスタンスを、同じホスト上にスケジューリングできる。
- オープン仮想ネットワーク(OVN)の内部API TLS/SSLに対応:RHOPはTLSを使い、内部APIトラフィックの暗号化に対応した。
- IPv6上でOVNデプロイメント:Red Hat OpenStack Platformは、IPv6ネットワーク上でのOVNデプロイに対応する。
また、RHOPをRed Hatの「Kubernetes」ベースのハイブリッドクラウドでも使用できる。これは「Red Hat OpenShift Container Platform」との顕密な連携によって実現している。Red Hatはその結果、「Red Hat OpenStack Platformで、従来のワークロードとクラウドネイティブなワークロードを自信を持ってデプロイできる」と約束している。
有効なサブスクリプションを持つユーザーは20日より、「Red Hat Customer Portal」から入手できる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。