ガートナー ジャパンは、日本でのテクノロジー人材に関する2020年の展望を発表した。今後3~5年を見据えて重視すべき動向を取り上げ、組織は長期的に起こり得る大変化をゼロベースでイメージし、企業の枠組みを超えた広い視野で、なすべき事項を検討すべきとしている。
同社は、クラウドや人工知能(AI)などのテクノロジーの破壊的な側面が広範に語られ、一定数はそのインパクトを認識している一方、必ずしも「自分事」として自らのアクションを変えるきっかけにはなり切れていないと指摘する。
今回の展望についてアナリスト ディスティングイッシュト バイスプレジデントの亦賀忠明氏は、「デジタルトレンドが当たり前になり、多くの企業が新しいことを推進する必要性を認識しつつある。しかし、『人ない、金ない、時間ない』と『何もしない』となるケースも多く見られる。IT部門の中には『ITはコストであり、IT人材も内製化するのではなく外注する』と言い切る人が今でも存在している。このままでは、新規のテクノロジーでビジネスインパクトを出せるような取り組みはできず、結果として次第に社内での存在感を失っていく」とコメントしている。
同社の展望では、テクノロジー人材の将来についてスキル、マインドセット、スタイル(芸風)から次のように解説している。
2023年までに、日本企業の60%は新たなマインドセットの獲得に苦慮する
真のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するには、企業に根本的な構造変革が求められる。そこでは、ITがまさに中核となり、本来ならこれまで以上にIT部門への期待が高まっても良さそうだが、実際に構造変革のような大きなテーマをリードするようなポジションにあるとIT部門を評価している企業は、ほとんど存在しない。一方で、多くの人々が、内外のさまざまな変化を目の当たりにし、従来通りの対応では済まなくなってきていることに気付き始めている。
多くの人が「バイモーダル」のモード1とモード2の差異について理解しているが、それに対応するための人材の変革は、まだ緒に就いたばかりの企業が多く見られる。モード2に人材面で対応するには、スキル、マインドセット、スタイルの3要素を強化する必要がある。例えば、マインドセットの強化が必要といざ理解しても、具体的に、どうやってその転換を図るかに苦慮する企業も多く見られる。マインドセットは、一度回話を聞いたり本を読んだりしただけで変わるものではなく、中長期にわたって改善を図ったり獲得していったりするもの。企業、組織および人は、新しいマインドセットの獲得を一過性ではなく継続的なイニシアチブとして推進する必要がある。