新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るうなか、近いうちに移住を考えている、あるいは移住することのできる開発者はほとんどいない上、多くは在宅勤務をすることになるだろう。とはいえ、新たに公開されたデータによると、開発者の給与は国によって大きなばらつきがある。
開発者向けのスキル訓練プラットフォームを手がけるCodinGameは今回、125カ国の2万人を超える開発者を対象に調査を実施し、高い年俸が期待できる上位10カ国を明らかにした。
同調査によると、最も高い報酬が見込めるのは米国であり、ソフトウェアエンジニアの平均年俸は9万5744ドル(約1040万円)だという。また、米国内で最も平均年俸が高い都市はワシントン州シアトルであり、その額は平均で10万5735ドル(約1150万円)だ。ちなみに、シアトルにはMicrosoftをはじめとする数多くの大手IT企業の拠点が置かれている。
開発者の平均年俸が2番目に高い国はドイツだが、米国に比べるとぐっと低く、6万1000ドル(約660万円)、そして僅差で英国の5万9326ドル(約640万円)が続いている。
これら3カ国の後にはカナダ(5万7000ドル/約620万円)、フランス(4万7000ドル/約510万円)、ポーランド(4万ドル/約430万円)、スペイン(3万7000ドル/約430万円)、ブラジル(3万2000ドル/約350万円)、ウクライナ(3万1000ドル/約340万円)、ロシア連邦(3万ドル/約330万円)が続いている。
もちろんお金がすべてというわけではない。満足している開発者の割合を見た場合、英国がトップであり、その後にカナダ、米国、ブラジル、ドイツが続いている。
また、勤務先の企業や分野、年功が開発者の年俸にさまざまな影響を与えており、ソフトウェアエンジニアが高い年俸を得ている業界の上位は保険関係、メディア、ヘルスケアとなっている。CodinGameによると、これら年俸の高い業界と、政府などの年俸の低い業界の格差は25%あるという。
なお、回答者の28%は修士号を有しており、26%は学士号を有している。また、21%は公式な資格を有しておらず、2%は博士号を取得している。さらに回答者の4分の3は自らの専攻がコンピューター科学関係だったと答えている。好みのプログラミング言語としてはPythonやJavaScript、Java、C#、C++が挙げられている。
米国に代表される一部の国々では高い年俸が見込めるとはいえ、国によって購買力は大きな差がある。このため、年俸が低い国であっても生活費が安ければ裕福に暮らしていける可能性がある。
また開発者の間では、リモートワーク形式やフリーランス形態の人気が高まってきているため、実質的な収入を高めることもできるだろう。というのも、生活費が手頃な場所に住みながら、パリやシアトル、サンフランシスコ、ベルリンといった物価の高い都市に拠点を置く企業の仕事をして高い収入を得たり、自営業として独立して個々のプロジェクトごとに高い報酬を得るといったことができるためだ。
COVID-19のパンデミックも影響を与える可能性がある。従業員によるリモートワーク の実績ができてしまえば、今後は従業員から出てきた在宅勤務への要望を却下するのは難しくなるかもしれない。また、より多くのマネージャーがさまざまな場所で働くチームメンバーの作業管理を経験し、自らのスキルを向上させる結果、企業は自社オフィスを訪れたことのないフリーランサーや契約業者との作業について、より前向きに検討するようになるかもしれない。
同調査では、求人を検討する際に重視する条件として、「報酬」が第3位となり、「技術面でのやりがい」と「柔軟な勤務時間」よりも順位が低かった点は特筆に値する。報酬は重要だが、引く手あまたの開発者にとっては最優先事項というわけではないようだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。