ワークライフバランスを尊重したテレワークを推進するJTの取り組み

國谷武史 (編集部)

2020-04-24 06:00

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、感染リスクを低減するためにテレワークを導入する企業が増えつつある。だがテレワークは、新型コロナウイルスの流行以前から働き方改革の一環として取り組んできた企業が少なくない。そうした企業では、新型コロナウイルスへの対応を含めてテレワークをどのように活用しているのだろうか。今回は日本たばこ産業(JT)のケースを取り上げる。

(※編集部より:本記事は新型コロナウイルス感染症対策のため、書面による質疑応答取材をもとに構成しています。)

--テレワークへの取り組みの経緯を教えてください。

 2012年から断続的に小規模な試行に取り組み、2015年度より本社、2016年度からは拠点を含めて試行範囲を拡大しました。2017年3月からは製造工場や一部の研究所を除いて正式導入し、2020年より全事業所を対象に実施しています。

--テレワーク制度の目的はどのようなものでしょうか。

 社員一人ひとりの「ワークライフバランス」が尊重され、仕事とプライベートがともに充実している状態にすることで、イキイキとした職場風土を醸成し、組織のパフォーマンスを最大化することが目的です。2015年7月から本格的に「働き方改革」に取り組んでおり、テレワークはそのうちの施策の1つになります。

--現在のテレワーク制度はどのような内容でしょうか。

 新型コロナウイルス感染症の影響を除いた場合として、2019年12月末時点で交替制勤務者や新入社員を除く全社員とフルタイムの有期雇用社員の約5057人(出向者除く同社単体の正社員7306人中)が対象です。2019年は1277人が延べ1万687回行いました。原則として深夜や休日のテレワークを禁止しており、終日のテレワークも原則として週2回までとしています。

--テレワーク制度の運用では、特にIT環境をどのように整備されていますか。

 国内や海外に関連拠点があるため、出張者などのモバイルワーカーに向けたIT環境を整備しています。テレワーク制度を導入した際に、社外からPC、タブレット端末、スマートフォンでメールやSharePointなどのファイル共有、社内業務システムを利用可能にしました。

 また、物理的な距離に関わらず日常業務で利用できるコミュニケーションツールを2019年度に拡充しています。MicrosoftのSkypeやTeamsを使ったチャットやウェブ/電話会議、社内SNSを使った情報発信や共有を行っており、社内だけではなく、協力会社などともプロジェクトや施策を実行する時に活用しています。

--テレワークでこうしたITツールを活用するために、どのようなことに取り組んでいますか。

 テレワーク制度を導入する際に説明会を開催し、ITツールのデモンストレーションなどを実施しました。日常的にも社内イントラを通じて会議の開催手段やコミュニケーションツールを紹介したり、出張時などの事前準備やリモートでの活用事例についても解説を掲載したりしています。

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